鳴り物入りでバルセロナに加わったネイマール。しかし、彼の自信は欧州の地で折れかけていた。(C)Getty Images 天才のキャリアを変えた興味深い秘話が明かされた。 証言者となったのは、ブラジル代表FWのネイマールである。同胞の大先輩で…

鳴り物入りでバルセロナに加わったネイマール。しかし、彼の自信は欧州の地で折れかけていた。(C)Getty Images
天才のキャリアを変えた興味深い秘話が明かされた。
証言者となったのは、ブラジル代表FWのネイマールである。同胞の大先輩で、セレソン(代表の意。ブラジル代表の愛称)のレジェンドでもあるロマーリオ氏のYouTubeチャンネルに出演したクラッキは、自身がヨーロッパでキャリアをスタートさせた当時の思い出を赤裸々に明かした。
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2013年5月、ネイマールは、強豪クラブの争奪戦の末に「僕自身の心の声に従った」と母国の名門サントスからバルセロナに入団した。ただ、当時に「ペレ2世」や「サッカー王国の至宝」と称賛されていた21歳への世間の期待は異様な高まりを見せていた。
鳴り物入りでバルセロナの一員となったネイマールの受ける重圧は想像に難くない。実際、欧州でのデビューシーズンとなった13-14のラ・リーガ最初の15試合で4ゴール、8アシストと結果を出していた本人もプレッシャーに押しつぶされそうになっていたという。
「移籍してから最初の6か月は不安な気持ちでいっぱいになっていた。ずっと胃の中に何かがいるような感覚だった。誰に対してもドリブルがうまくできないし、誰も抜けない。僕がやっていることはすべて間違っているっていう感じがしていた」
環境やプレースタイルの変化の中で一種のスランプ状態に陥っていた。そんな悩める天才を救ったのは、すでに時代の寵児となっていたナンバー10の言葉だった。ネイマールは、バルセロナOBでもあるロマーリオ氏の前で、あるエピソードを告白した。
「ある日、僕は心底動揺していた。たしかアスレティック・ビルバオ戦だ。何もうまく行かなくハーフタイムに、僕は自分自身に腹を立てて、ドレッシングルームに入った。自分のプレーが酷すぎたんだ。それでトイレに一人でこもりながら『僕はいったい何をやっているんだ?』と泣いた。
すると、ドアをノックする音がした。メッシだった。彼は『なんで泣いてるんだ』って聞いてきた。そして、続けざまに言ったんだ。『サントスでやっていたように、プレッシャーなんて気にせずにやりたいように最高のサッカーをしてほしい。何か必要なことがあれば、僕を頼ってくれ』ってね」
どん底にいたネイマールをメッシは救った。その言葉を受け、「自信が持てるようになって、プレーのすべてがうまくいくようになった」というブラジル代表FWはバルセロナで主軸として成長。2年目となる14-15シーズンにはクラブの三冠(ラ・リーガ、チャンピオンズ・リーグ、コパ・デル・レイ)獲得に貢献した。
あの瞬間、トイレで涙するブラジルの逸材に理解を示さず、メッシが孤立させていたならネイマールは、今頃どうなっていただろう。もしかしたら世界的な名声を掴めないまま、サッカー界から姿を消していたかもしれない。今回の告白は、そんな「もしも」の想像も膨らむ興味深いエピソードだと言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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