第73代横綱照ノ富士(33)=伊勢ケ浜=が17日、現役を引退した。日本相撲協会に承認され、両国国技館内で会見。大関から序二段まで転落しながら、不屈の闘志で綱を張り「本当に激しい相撲人生だった」と感慨に浸った。そして完全燃焼した安どの笑みも…

 第73代横綱照ノ富士(33)=伊勢ケ浜=が17日、現役を引退した。日本相撲協会に承認され、両国国技館内で会見。大関から序二段まで転落しながら、不屈の闘志で綱を張り「本当に激しい相撲人生だった」と感慨に浸った。そして完全燃焼した安どの笑みも浮かべた。今後は「照ノ富士親方」として、伊勢ケ浜部屋で後進の指導にあたる。

 照ノ富士の間垣部屋時代の兄弟子で、長らく付け人を務めた元幕下駿馬の中板秀二さん(43)は「ボロボロになりながら誰も成し遂げていないことをして、誇りに思う」とねぎらった。

 勤務する東京都墨田区の通所介護施設に照ノ富士が訪ねてきたのは昨年8月。2019年夏場所限りで引退後も交流は続く。

 口うるさい兄弟子で「僕のことを嫌っていたと思う」と話すが、伊勢ケ浜部屋に移り、若三勝から照ノ富士に改名した新十両場所。互いに心を通わせる場面が訪れた。

 「僕が化粧まわしで間違えることがあり、それを指摘した者に『中板さんが間違えるわけない』と言ってくれた。信頼してくれているんだと」

 照ノ富士が大関から幕下まで番付を落とした18年夏、中板さんは「本人は『辞める』と後ろ向き。僕に甘えているから、僕がいなくなれば」と引退を考えた。

 19年春場所で照ノ富士が序二段で復帰した際、既に部屋を離れていたが「復帰します」「勝てました」と続々メールが届いた。復活を確信した瞬間だった。