「史上最高」になることを望んだソト(左)の契約を推し進めたボラス氏(右)。(C)Getty Images 関係者たちにとっても「まさか」の契約締結だったようだ。メッツと15年総額7億6500万ドル(約1147億5000万円)のプロスポーツ史…

「史上最高」になることを望んだソト(左)の契約を推し進めたボラス氏(右)。(C)Getty Images

 関係者たちにとっても「まさか」の契約締結だったようだ。メッツと15年総額7億6500万ドル(約1147億5000万円)のプロスポーツ史上最高額の契約を交わしたフアン・ソトのそれだ。

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 今オフのFA市場で注目を集めてきた大物の交渉が終わったのは、現地時間12月8日。ヤンキースやレッドソックス、ドジャース、ブルージェイズが「最低6億ドル(約912億円)」とされた空前絶後のマネーゲームに参戦。争奪戦は熾烈を極めたが、最終的に出来高を含めて最大8億ドル(約1216億円)に達するメガオファーを提示したメッツが26歳の怪物を口説き落とした。

 契約をする上で「フィールド外の問題に焦点を当てていた」というソトに対して、メッツは1試合あたり3250ドル(約50万円)から1万3000ドル(約197万円)もする本拠地のスイートルーム使用権、本人と家族へのボディーガード配備を約束。まさに至れり尽くせりの条件を提示し、他球団との“差”を明確にした。

 もっとも、メッツを仕切る大富豪のスティーブ・コーエンオーナーは、契約締結の瞬間「自分たちが契約を結ぶ人間ではない」「オファー内容がヤンキース復帰を阻止するために十分なものではない」と、最後の最後まで不安に苛まれていたという。

 今回の交渉に関する内情を伝えた米スポーツ専門局『ESPN』の取材に応じたコーエン氏は、デビッド・スターンズ球団社長とともに挑んだ米フロリダ州にある自宅でソトとの交渉について「初めて会った時にはフアンのことはあまりよく理解できなかった」と振り返っている。

「もっと時間をかけて彼の人柄を知る必要があると感じた。これは明らかに大きな契約になると考えていたからだ。彼の話を聞き、彼の人となりを知りたかった。最初の面談は、お互いを知るための場だった。『やぁ、初めまして』『元気かい』といった内容だったんだ。私はもっと野球や契約に関する実質的な内容を求めていた」

 その後、数回の交渉を行ったコーエン氏だが、「自分の可能性に確信が持てなかった」という。一方でソト陣営はメッツが見せた史上最高額の契約という“誠意”に決意を固めていた。『ESPN』はボラス代理人がヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMにかけた極秘の電話で語った交渉決裂を意味する言葉を伝えている。

「フアンは違う方向に向かっている。ヤンキースが何か悪いことをしたというわけではない。ヤンキースがやらなかったことなどは関係なく、メッツのやったすべてが影響した」

 札束攻勢も影響してソトとのメガディールを成立させたコーエン氏は「スコットが電話してきて、『なんてこった。まさかこんなことが起こるなんて』と思った。予想もしていなかった。こんなことが起こるなんて思ってもみなかったから」と吐露。空前絶後の争奪戦を制した現実を心底驚いた様子で振り返った。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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