J1昇格プレーオフ(PO)に進出し、2日に続投が発表されたモンテディオ山形・渡辺晋監督(51)の視線はすでに来季へ向いている。多くのサポーターが集まるホームでの勝利を強く意識し、“優勝・昇格”を目標に戦う。****…
J1昇格プレーオフ(PO)に進出し、2日に続投が発表されたモンテディオ山形・渡辺晋監督(51)の視線はすでに来季へ向いている。多くのサポーターが集まるホームでの勝利を強く意識し、“優勝・昇格”を目標に戦う。
****
10日に行われた記者会見の冒頭で渡辺監督が伝えたのは、支えてくれた方々へのお礼と感謝だった。
「サポーターの皆さん、本当にありがとうございました。あなた方の声援という力で、選手たちは苦しいときも走り抜けることができました。スポンサー各社の皆さま、各自治体の皆さま、毎年たくさんのご支援ありがとうございます。皆さま方の支えがあってこその我々プロチームだと思っています」
“身内”への感謝の思いも改めて口にした。
「モンテディオ山形のクラブスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。前半戦の苦しい時期でも、毎回アウェーに行くバスを旗を振って見送ってくれるんです。あんな姿見たことないですし、こんなにクラブのスタッフを身近に感じながら仕事をさせてもらったのは初めてでした。まさに山形一丸という言葉を体現してくださったスタッフの方々にお礼を言わせてください」
一時16位まで落ちて苦しんだ前半戦から、後半戦はチーム新記録の9連勝で4位フィニッシュ。途中加入のMF土居聖真やFWディサロ燦(あきら)シルヴァーノらの奮闘もあったが、継続したことの強みもあった。
「(5月の)アウェー山口戦(0●2)から帰ってきて、まずスタッフに変えるもの、変えないものを明確に伝えました。変えないことの一番はビルドアップを放棄しない、攻撃で主導権を握っていくこと。この戦い方を変えるつもりは1ミリもない、と。同時に勝てていないのには原因があるので、変えるものもあるよと伝えて。変えないことに対して選手、スタッフが信じて続けてきたからこそ、最後勝ち続けることにつながったと感じています」
印象に残った試合を問われて指揮官が挙げたのは、0―3で敗れた昇格PO準決勝・岡山戦だった。
「正直、POの岡山戦以外何も浮かばないんです。9連勝のときとかあまり出てこなくて。岡山戦の90分、特に全然うまくいかなかった前半の45分、そればかり頭に出てきて。映像を何回も見直したし、それを解決することが来年我々が優勝をつかむための一つの材料だとずっと考えている」
今季に引き続きJ1昇格を目指す来季。だが意識は少し変わったという。
「優勝、昇格を目指していきます。今年はJ2優勝=昇格と思っていて、あえて(昇格は)つけませんでした。ただ昇格というものも、ものすごく大事。昇格するための方法として優勝が大事なので、優勝と昇格はセットでとらえています」
今季J2優勝の清水との勝ち点差は16。この差を埋めるため、指揮官はこう言葉をつないだ。
「今年はホームで負けすぎました(10勝3分6敗)。ホームって勝つ場所だろ、となればそれを信じてお客さんももっと集まるでしょうし、そういう場所にしないといけない。ホームの負けを全部勝ちに変えていけば、差は埋まると思います」
(有吉 広紀)
◆渡辺 晋(わたなべ・すすむ)1973年10月10日、東京都生まれ。51歳。神奈川・桐蔭学園から駒大に進み、96年に当時JFLの札幌に入団。当時JFLの甲府、J2仙台でDFとしてプレーし、04年限りで引退。翌05年から仙台の巡回やアカデミー、トップチームのコーチを歴任し、14年4月から19年まで当時J1仙台の監督を務めた。その後21年にJ2山口の監督、22年からJ2山形のトップチームコーチを務め、23年4月から監督に就任。J1通算15試合出場0得点、J2通算111試合出場8得点。