セ・リーグ最後の20勝投手である元阪神でデイリースポーツ評論家の井川慶氏(45)が、阪神ドラフト1位の伊原陵人投手(24)=NTT西日本=の投球フォームを分析した。いくつかのポイントを挙げた上で、ボールの出どころが見えにくいところを、ソフ…

 セ・リーグ最後の20勝投手である元阪神でデイリースポーツ評論家の井川慶氏(45)が、阪神ドラフト1位の伊原陵人投手(24)=NTT西日本=の投球フォームを分析した。いくつかのポイントを挙げた上で、ボールの出どころが見えにくいところを、ソフトバンクや巨人で活躍した巨人の杉内俊哉投手チーフコーチ(44)に例えるなど、今後に期待を寄せた。

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 動画でも投球を見たことがありますが、いいフォームで投げていますね。全体的に見ると、しっかりと足を上げてからためをつくっています。体の軸を意識して真っすぐ立ち、そこをしっかりと決めてから、足を下ろしにいくという形ですね。

 その中で少し珍しいのは左足主導の部分です。②のところで、ワンステップというか左足のかかとを少し上げるように動かしてからスタート。そこから、かかとをつけた時の反動から右足を上げて形をつくっています。

 反動を付ける理由としては、おそらく体の軸がぶれないまま右足を上げやすいからでしょうか。反動で上げた方がスッと上がって軸をつくりやすいと思うので。右足だけで上げにいくと意外と腹筋を使うため、試合の後半になると疲れて後ろ重心になったりします。でもその反動を使えば、そこまで腹筋を使わないので軸がぶれにくくなる。先発で長く投げると疲労から軸がずれて、コントロールミスにつながることもあるので、そういう意味ではいいと思いますし、そこが特徴かなと。

 あとは横移動の部分、⑨の辺りからですね。半身というか、横を向いたまま移動することをかなり意識しているように思います。ずっと体を開かないままでいて、最後の最後に胸を開いて投げられている。しっかりと我慢できていますよね。

 ここの流れは、僕が見てきた投手の中では杉内君(現巨人投手チーフコーチ)っぽいなと。⑨から⑪の辺りまで、体がしっかりと一塁側を向いているのが分かると思いますが、これは腕が見えにくいというメリットがあり、打者からすると嫌でしょうし、⑫のところの胸の張りは最高ですね。

 この張りが、質のいいボールにつながっていると思いますし、肩甲骨の柔らかさがないとできないことです。なぜこれがいいかと言うと、それだけ左腕を後ろ側に持って行けているため、その分勢いが出て、強いボールを投げられるということです。少し違うかもしれないですが、弓矢でも弦をより引くことで、矢の勢いが出るというところに近いかもしれません。

 右手の使い方も上手ですし、ロスもなく力が伝わっているフォームという印象を受けます。一つアドバイスさせてもらうなら、上半身でがんばるタイプかなと思うので、肩と肘のケアをしっかりして、ケガに気を付けてもらえればと思います。

 ◆伊原 陵人(いはら・たかと)2000年8月7日生まれ、24歳。奈良県出身。170センチ、77キロ。左投げ左打ち。投手。智弁学園、大商大、NTT西日本を経て24年度ドラフトで阪神から1位指名。直球の最速149キロ。球種はカットボール、スライダー、フォーク、カーブ、ツーシーム。趣味はアニメを見ること。