◇米国男子(ツアー外競技)◇ヒーローワールドチャレンジ◇アルバニーGC(バハマ)◇7449yd(パー72)ウィンダム・クラークが、唯一無二とも言えるタイトリストのアイアンセットを「ヒーローワールドチャレンジ」で投入する予定だ。約18カ月を…

ウィンダム・クラークの新プロトタイプアイアン(提供GolfWRX)

◇米国男子(ツアー外競技)◇ヒーローワールドチャレンジ◇アルバニーGC(バハマ)◇7449yd(パー72)

ウィンダム・クラークが、唯一無二とも言えるタイトリストのアイアンセットを「ヒーローワールドチャレンジ」で投入する予定だ。約18カ月をかけて設計され、クラークがショートアイアンで低く、ロングアイアンで高いボールを打てる仕上がりとなった。

タイトリスト契約選手のクラークは、2023年「ウェルズファーゴ選手権」のツアー初優勝から「全米オープン」、今年2月「AT&Tペブルビーチプロアマ」の3勝を軟鉄鍛造キャビティバックのタイトリスト「620CB」で手にしたが、夏から「T100」に乗り換えていた。クラークはヒーローワールドチャレンジ開幕前日に「8、9番には低い弾道が欲しかった。6、7番はとても気に入っていて、4、5番はかなり高い打ち出しが欲しかった。だけど、それら全てを同じ(モデルの)アイアンで実現するのは難しい。だから、それを実現するセットを作ったんだ」と語った。

左が使っていたT100、右が新たな632.DUB(提供GolfWRX)

2023年から開発に取り掛かった新たなカスタムアイアンは、異なるいくつかのモデルの特性を併せ持つ。4番は、タイトリストのTシリーズで最も寛容性が高い、昨年発売の「T200」の流れをくみつつ、より低い重心位置になるように改良されている。

「これはT200だけど、カスタムのT200。僕らはオフセットを取り除いて、重心をさらに低くした。高さが必要なとき、頑張らずに真っ直ぐ高々と上がる4番アイアンが欲しかった。それって自分のスイングにとってもいいんだ。高さを出そうとして、体が後ろに傾きすぎて大きなミスをすることがあったからね。引く打ち出す技術はずっと持っていた。だから、このクラブを作り上げたんだけど、最高だね」

5番から9番は「632.DUB」と呼ばれる。

クラークは「本質的にはMBとCBのコンビネーションだけど、長い番手はより大きめのキャビティになっている」という。「620MB」はマッスルバックの軟鉄鍛造ブレードで、620CBはキャビティバックの軟鉄鍛造。新セットの一貫した特性は、標準的モデルよりオフセットが小さくなっている点にある。

「全体をブレードでプレーするのはかなり難しい。しかし、キャビティバックやゲーム・インプルーブメント(飛び系)アイアンのみでプレーするのも、打ち出しが高くなるから難しい。ショートアイアンで精度を高めるには、低い弾道が必要だからね。そこで、僕はタイトリストに『オフセットが少なく、ショートアイアンは低弾道、ミドルアイアンは中弾道、ロングアイアンはかなり高弾道になるアイアンがあったらすばらしいな』と言ったんだ。このセットを作るプロセスはそこから始まったんだよ」

タイトリストの上級ディレクターであるJJ・ヴァンウェゼンベック氏によると、新しいキャビティバックの5番は、低重心で高弾道を実現すべく、タングステンがT100のようにフェースの底でなくソールに配置されているが、6番はキャビティバックながら、ソールにはタングステンが入っていない。7番以下の番手はブレードだという。

632.DUBの8番(提供PGAツアー)

クラークのアイアンは、タイトリストが“プロジェクト・フィール”と総称する取り組みの最新作なのだ。ツアープレーヤーとカスタムアイアンを製作するコラボレーションから、彼らの好みを学び、将来的なシリーズに使用可能なイノベーションを解き放っていく―。この“プロジェクト・フィール”で、カスタムのアイアンセットを製作した選手には、ジャスティン・トーマスキャメロン・ヤングウェブ・シンプソンアダム・スコット(オーストラリア)らがいる。

彼らのカスタムセットにはトーマスの「621.JT」や、ヤングの「631.CY」のように、選手名にちなんだ名称が付けられてきた。クラークの新クラブは、ニックネームの「ダブ」にちなんで632.DUB。タイトリストはブレード型に600番台を使用しており、“632”はカスタム製造シリーズでも、ヤングのアイアンの流れをくむことを意味している。

クラークはアイアン製造に深く関わってきた。ヴァンウェゼンベック氏は「彼は恐らく、いろんなことを試すのに最も興味を持つ選手です。今回のクラブでは、最も多くのプロトタイプを作りました。“プロジェクト・フィール”待遇を受けた他の選手たちは、我々の進むべき方向や、パフォーマンス特性と見た目の特徴の面で、いい意味で筋道が見えていました。ウィンダムと一緒に仕事をしていて楽しかったのは、彼が自分の知らなかったことについて好奇心をそそられたことです」と語る。

オフセットの分量(オフセットが大きめのクラブと小さめのクラブの両方を試した)や、重心に影響を及ぼすタングステンの位置といった特性の点で試行錯誤を行なったという。クラークは620CBよりオフセットが小さめで、トップラインがわずかに薄い物を好んだが、同時にT100のソールも気に入っていた。最も重要だったのは、セットを通じて好みの弾道を実現するための重心配分だった。

「彼はショートアイアンでは、より突き抜けるような弾道を作り出そうとします。一方で、平均的なツアープレーヤーより、ロングアイアンは少し急角度に入れているので、彼の好む打ち出し角を実現する上で、何か手を加える必要がありました」とヴァンウェゼンベック氏。こうして、632.DUBは誕生したのだ。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)