日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長(66)が30日、都内で報道陣の取材に応じ、NBAレーカーズの八村塁が日本協会と男子日本代表のトム・ホーバス監督を批判している問題について、改めて21分間にわたって考えを述べた。海外選手専用…

 日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長(66)が30日、都内で報道陣の取材に応じ、NBAレーカーズの八村塁が日本協会と男子日本代表のトム・ホーバス監督を批判している問題について、改めて21分間にわたって考えを述べた。海外選手専用の連絡窓口を設置するなどの改善策を示し、「選手が安心してプレーできる環境をつくりたい」と言及。前日に騒動後初めて声明文を出していたが、騒動発生から初めて公の場で言及するまで17日を要したことについては、「組織のトップとして何を話すべきか悩んだ」と苦悩を明かした。

 問題の発端は今月13日。八村がNBAの試合後に日本代表について言及し、日本協会や代表活動のあり方、ホーバス監督続投などに苦言を呈した。これに対し、日本協会は20日に渡辺信治事務総長が対応し「非常に重く受け取っている。ミスコミュニケーションがあった」と認めた。しかし、23日には八村が改めて日本協会の姿勢とホーバス監督の手腕について再び痛烈な批判を展開した。

 この異常事態に、28日には日本代表の渡辺雄太(千葉J)が問題について言及。八村に許可を取ったという上で関係悪化の経緯を明かし、「僕はトムが大好き。日本代表のヘッドコーチとして誰よりもふさわしいと思っている」と、双方への敬意を示した上で仲裁にあたる考えを表明した。

 三屋会長はこの件について沈黙を続けていたが、29日に声明文を発表。さらに、騒動発生から17日、ようやく公の場でトップとしての見解を示した三屋会長は「私もいろいろ(個人として)考えていたことはあるが、組織のトップとして発言するのは重い。これは不祥事かといえば違うし、コンプライアンス違反でもない。JBA会長として、どういう立場で何を言うか、今回は私自身も珍しく悩んだ」と苦悩を明かし、「八村選手が発言するのは当然彼の権利だし、渡辺雄太選手があれだけ覚悟を持って発言してくれて、私ができることは、ここでしっかり組織としての考え方をお伝えして、彼らがバスケットに集中できる環境をつくることだと(考えた)」と、いきさつを語った。

 会長としての見解を示すまでに2週間以上を要したことに、「皆さんからは『遅い』と言われるのは十分わかっていたが、個人としての発言はできたが、組織のトップの発言はなかなか難しくて。今回の場合、『一体JBAは何をしてるんだ』っていう批判は甘んじて受けるが、組織として発言する重さは十分理解した上で昨日、今日とステートメントを出した」と述べた。