日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長は30日、NBAレイカーズの八村塁がJBAに苦言を呈したことを受けて都内で取材に応じた。「責務として選手が集中してバスケができる環境を作ってあげないといけない。一連の出来事の中で、コミュニケ…

 日本バスケットボール協会(JBA)の三屋裕子会長は30日、NBAレイカーズの八村塁がJBAに苦言を呈したことを受けて都内で取材に応じた。「責務として選手が集中してバスケができる環境を作ってあげないといけない。一連の出来事の中で、コミュニケーションを見直さないといけない。改善しないといけないところが見受けられる」などと語った。

 八村が初めて日本代表の在り方などについて発言した13日(日本時間14日)以降、三屋会長が公の場で発言するのは初めて。会長代行を務める日本オリンピック委員会(JOC)などが主催のパリ五輪・パラリンピック応援感謝イベント後に急遽取材に応じた。

 三屋会長は現状の課題と改善点について「一つは、海外で活動している選手の窓口が気心知れている人間に任せてしまっていた。明確に意思、意図、正確な情報が伝わっているか分からなかったところ、ボトルネックになっていたところでもある。責任者を据えていかないといけない。もう一つは、アスリート委員会を活性化することで選手の声をよりJBAに届けてもらう仕組みづくりが大事」と説明した。

 八村が続投が決まった男子代表のトム・ホーバス監督の手腕も疑問視していることには「価値観の違いがあるんだろうなと思う。同じ監督に対する意見が違う。それは価値観の違い。価値観の違いは公の場で話すと並行線。個別に対応し、溝が埋まるようにそこは個別に丁寧に対応していく方針。こちらも責任者を明確にしていなかったことも反省。組織としてこれはだめ。仕組みを今一度、丁寧に作っていく。選手に集中した環境をどう作れるか真剣に考えていきたい」とした。

 また、公の場でJBAを批判する発言を行った八村に対し、何らかの罰則を与える可能性を問われると、「ルールや規律で抑え込むのは個人的にはしたくない。選手から意見が出ることは、私は健全だと思っている」との姿勢を示した。

 JBAは29日に三屋会長の名前で「バスケットボールファン、関係者の皆様へ」と題した声明を発表。「この度は、男子日本代表チームをめぐる一連の動きについて大変なご心配をおかけしております」と謝罪。「引き続きホーバスHCと日本代表チームを全力でサポートして参ります」など、改めて現体制で28年ロス五輪を目指していく方針を強調した。

 八村は13日の試合後に日本バスケットボール協会(JBA)や日本代表の在り方などに疑問を呈した。その後、JBAと代理人がオンラインでコミュニケーションをとり、20日にJBAの渡辺信治事務総長が取材対応。八村が不満を持った一例として7月の強化試合の欠場が事前に決まっていたにもかかわらず、JBAの発表が試合直前だったことを挙げ「商業目的のために引っ張った意図はなかったが、ミスコミュニケーションがあった」などと説明した。

 八村はその後、改めてJBAを「プレーヤーファースト(選手第一)の精神が見られない」などと批判。ホーバスHCの手腕や選考過程にも「練習のやり方、ミーティングも世界レベルではないんじゃないかと思う」などと苦言を呈した。

 混迷する事態を受け、28日にはNBAで6季プレーした渡辺雄太(千葉J)が八村に事前に伝えた上で報道陣の取材に応じ「悪者は一人もいない。僕もJBAやトム、塁とコミュニケーションを取って、日本代表を良くしていくためにやっていく。可能ならこの話はいったんここで決着に」などと語っていた。