国内フリーエージェント(FA)権を行使していた阪神・大山悠輔内野手(29)が29日、西宮市内の球団事務所で会見を行い、残留を表明した。今回の決断に至るまでの思いや今後に向けて、偽らざる胸の内を明かした。  ◇  ◇ (テレビ会見) -大山…

 国内フリーエージェント(FA)権を行使していた阪神・大山悠輔内野手(29)が29日、西宮市内の球団事務所で会見を行い、残留を表明した。今回の決断に至るまでの思いや今後に向けて、偽らざる胸の内を明かした。

  ◇  ◇

 (テレビ会見)

 -大山選手から報告を。

 「来年からもタイガースでプレーすることを決めました」

 -残留の一番の決め手は。

 「いやもう一番が多すぎて。本当にいっぱいあるんですけど。まずはやっぱり監督、コーチ、スタッフの皆さん、裏方の皆さん、そしてチームメートともう一回優勝、日本一を一緒に達成したい、その気持ちは強くありますし、そこが理由になりましたし。あとはファンの皆さん、ファン感謝デーの時にスタンドに多くの僕の赤いタオルを広げてもらってすごくうれしかったですし、そのタオルをもっともっと増やしたいなと素直に思ったのもあるので。うん。決めた理由はいっぱいありますね」

 -ファン感謝デーは大きな要因になった。

 「はい。不安でしたけど、ハイタッチの時とかいろんな言葉をかけてもらいましたし、名前呼ばれたときの歓声がうれしかったですね。あとは一番忘れられないのは去年の日本シリーズ。あの時の歓声って言うんですかね、なんて言ったらいいかわからないですけど、地鳴りのような、あの感動が忘れられないというのもあるので。それをもっともっと感じたいなと思ったのが理由の一つです」

 -契約の内容は。

 「5年契約でさせてもらいました」

 -“生涯虎”という気持ちも。

 「長い年数になるので、少し先のこともありますけど、まずは一年一年だと思ってるので。監督も代わりましたし、僕自身、一からの気持ちでもっともっとしっかりやらなきゃいけないと思ってるので、まずは来年しっかり頑張りたいと思います」

 -悩んだ期間はどんな時間だったか。

 「ホントに悩みましたし、すごく自問自答する日々というか。常にどうしたらいいか、自分にとって何がベストなのかというのをずっと考えてましたし。そういう意味では、何て言ったらいいんですかね。大変でしたけど、逆にいろいろ考えることができた時間でもあるので、すごくプラスな時間だったと思います」

 -大事にしたいものの答えは。

 「答え…あるようでないのかなと思いますし。残留したことでそれをまた見つけていくのも一つかなと思うので。それを見つけられるように日々頑張りたいなと思います」

 -決断したタイミングは。

 「ホントに今日ですね。昨日、選手会納会をして、選手、裏方さんと会う機会もありましたし、そこでいろいろ話していく中でいろいろ思うこともあったので。今日帰ってきて決めました」

 -どんな話をチームメートとしたのか。

 「チームメートともいろいろ話しましたけど、やっぱり裏方さん、1年間お世話になった方々にあいさつする中でいろんな言葉をかけてもらえましたし。僕たち選手は裏方さんあっての選手だと思ってるので。そういう人たちに必要と言ってもらえてうれしかったというのもありますね」

 -裏方さんからのラブコールに心が動いた。

 「間違いなく一つの理由であると思いますし、残ってほしいという言葉もいっぱいもらいましたし、『どこに行っても応援してるよ』みたいな、温かい言葉もたくさんもらったので、この人たちのためにもう一度頑張りたいなと思いもありました」

 -藤川監督と話したか。

 「今日、お電話させてもらったんですけど、『良かった、うれしい、一緒に頑張ろう』と言ってもらえたので。まだ監督選手としてプレーしたことないので、まだわからない部分も多いですけど、監督と勝ちに向かって頑張りたいと思います」

 -チームメートの反応は。

 「僕の方から残ります来年もお願いしますと連絡させてもらって、良かったと言ってもらえたので、すごく良いチームメートに恵まれてると思いますし、みんなと切磋琢磨(せっさたくま)しながら頑張りたいと思います」

 -他球団の評価聞いて。

「まず最大の誠意で交渉をしていただいた他球団の方には本当に感謝してますし、自分自身、勉強になることもいろいろありましたし、そこはほんとに感謝しかないです」

 -阿部監督、坂本選手からもラブコールがあった。

 「素直にうれしかったですし、あれだけ活躍されてる選手の方がそう思ってくれたのがうれしかったですし。素直にうれしかったです」

 -揺れ動いた。傾いた時期もあったか。

 「はい、ありましたけど。そこのところでの自問自答ですね。それがずっと続いてました」

 -阪神との話は。

 「残ってもらえてうれしい、選んでもらえてうれしいと言ってもらえましたし、来年優勝に向かって頑張ってほしいといわれました」

 -タイガースはどんな球団か。

 「うーん、いい意味でも悪い意味でもすごい球団だなと改めて思いましたし、だからこそ、そこでやれる達成感であったり、幸せなことだと思いましたし、そこはずっと思ってましたので。日本シリーズでの歓声、地鳴りのようなのはなかなかないことだと思うので、それが幸せなことだと思いました」

 -タイガースの特別なことを感じた。

 「他球団は分からないですけど、それくらいすごかった時間でもあったので、それをもう一回、もう一回とは言わず何回も経験したいと思いましたね」

 -来季へ向けて。

 「自分でしっかり決断したことなので、覚悟を持ってやりたいですし、優勝、日本一に向けてまたしっかりやらなきゃいけないと思うので、チームメートだけじゃなくて、スタッフの皆さんであったり、裏方の皆さんと一緒にしっかり頑張りたいと思います」

 -ファンへメッセージを。

 「ホントにあの甲子園の大歓声の中でやれることは当たり前じゃないんだなと、この期間思いましたし、今度はプレーで感謝の気持ちを返せるように頑張りたいと思います」

 (囲み)

 -最後の最後まで五分五分だったのか。

 「そうですね。ずっと考えてましたし、自分の意図していない記事が出たり、大変な時期が多かったですけど、でもそうやって考えていた時間というのもプラスになりましたし、この経験というのはプラスにしていかないといけないと思うので。しっかり考えたからこそ覚悟というものをしっかり持って、5年という期間ではありますけど、まずは来年、しっかり頑張りたいと思います」

 -表情がスッキリしているように見える。少し楽になったか。

 「ずっと悩んでいたところがあるので、そこで決まったというのはあるんですけど。その分、覚悟というか、決めた以上は相当の覚悟を持ってやらないといけないので、緊張感だったりそういったものは増しているのは間違いないです」

 -大変なことも多かったが、やりがいが上回ったのか。

 「そうですね…やりがい…。確かに大変なことは多いですけど、それを経験できるというのは当たり前のことではないことなので。それを含めて、すべてプラスにしたいなと思っています」

 -監督からは良かったと。早く伝えたかった。

 「そうですね。自分の中でも早く決めたい気持ちも、もちろんありましたけど、でも一度きりの人生ですし、野球人として他球団でプレーすることで自分にとってもプラスになることは分かってましたし、そこで挑戦する、また新しい自分を発見できる可能性があるという中でいろいろ考えましたけど、それでも、チームメートともう一度、優勝、日本一になりたいって気持ちが強かったので、それを監督に報告することができて良かったのかなと思います」

 -家族の支えもあったか。環境の変化よりも残る方がいいと。

 「決断するにあたって、妻の存在というのが一番大きいですし。悩んでる時期でも僕の決断することについていくと言ってくれていたし、そういう言葉を言ってもらえたことが、しっかり決断した理由でもあると思うので。なかなか相談できないことなので、家族、妻にはそういう話を少し聞いてもらうことでいろいろプラスになったこともあるので、そこは一番感謝したいところです」

 -ほぼ移籍に決めかけたこともあったか。

 「う~ん、まあ、いろいろですね」

 -巨人をはじめ、いろいろ条件面の報道もあったが、条件以外の大事な決断理由もあったか。

 「それはもちろんありますし。報道と、実際のところが違ってる部分もたくさんあったので。そこは全て…あれですけど、やはり周りの方々はそこを目にするので、自分の中ですごく悩みというか、葛藤がありましたけど。でもいろいろな理由がある中で、自分でしっかり決断しようと思っていたことなので、そこは決断したのでしっかり覚悟を持って頑張ります」

 -条件面以外で球団から言われてうれしかったことは。

 「残ってもらえて、うれしい。ですね」

 -もう気持ちは切り替わっている。

 「はい、決めた時点で。決めた瞬間は何と言うか、決まったことに対しての安堵(あんど)感はありましたけど、そこで来年に向けてやるしかないと思ってたので、そこはもう切り替えというか、気持ちはできてます」

 -同じ残留でもFA権を行使した上での残留。それで良かったと今は思えるか。

 「それだけではなくて、この期間全てのことをプラスにしたいと思うので。それをプラスにするのもマイナスにするのも自分次第だと思うので、プラスにできるように、今日からまた頑張りたいと思います」