FA宣言していた阪神の大山悠輔内野手が29日、兵庫県西宮市内で会見し残留を表明した。阪神、広島、オリックスでコーチを歴任したデイリースポーツ評論家・岡義朗氏は「本人にとってもチームにとっても最善の選択だったのではないか」と語り、移籍した場…

 FA宣言していた阪神の大山悠輔内野手が29日、兵庫県西宮市内で会見し残留を表明した。阪神、広島、オリックスでコーチを歴任したデイリースポーツ評論家・岡義朗氏は「本人にとってもチームにとっても最善の選択だったのではないか」と語り、移籍した場合のデメリットなども含めて解説した。

 まず来季、藤川新監督にとってV奪回を目指すチームにとっては「本当に大きいと思うよ」と分析した岡氏。「今、チームに目を向けたら実績を残してきたレギュラーは誰?という話になる。現状で言えば近本と大山。森下は来年が3年目で主力になれるかどうか勝負の年。戦力を考える上でそこが抜けると、外国人や新戦力に頼らないといけない。ハマればいいけど、もしハマらなかったら厳しい状況になる。そういう意味でも大山が残ってくれたという事実は編成面でも大きいよね」と評する。

 また「4番は奪い取れという格言がプロ野球界にはあるけど、大山がいることで森下であったり、佐藤輝であったり、大きな飛躍の材料となる。大山を乗り越えるまで成長し、彼らが4番をつかんだとなれば本当に力をつけた証拠。与えられた4番では長続きはしない。先輩を超えて実力をつけないと。そういう意味でも大山がチームに残ってくれたことはプラスなんだよね」と言う。

 一方で大山個人に目を向けても「俺らもいろんな球団を見てきたけど、やっぱり阪神に残ったというのはプラス。というのも大山は今年、前年と比べて成績を落としたでしょ?そこから巻き返しを目指す上で、FAで新天地というのは大きなプレッシャーになる。周囲の声などを考えても、プレーに悪影響を及ぼす可能性はある。これが阪神に残れば、純粋に慣れた環境の中で自分の成績を再び上げていくことに集中できる。これは大きなメリット」と評した岡氏。「いろんなチームを見てきたけど、やっぱり阪神という球団は恵まれている。引退後も含めてね。まだ彼らは現役だからわからないだろうけど、大山ほど人間的にもしっかりしていれば将来、指導者になることも十分に考えられる。タイガースで経験したことを後輩の選手に伝えられる存在だし、大きいよね」と自らの経験も踏まえた上でメリットを強調する。

 仮に移籍していた場合には?という問いには「これはチームにとっても痛かったと思う。他球団を見れば、チーム力は確実に上がってきている。中日も小笠原が抜けるとは言え、期待のルーキーも入ったことで投手力はいい。そこで主力が抜ける。未知数な部分が増えるというのは、冷静に考えて見ていいことじゃないよね」と評した。先述した4番を奪いとるという部分でも「後進の育成を考えれば、大山がいてくれることでさらに強い4番バッターが生まれる可能性ができた。今後数年ではなく、その先を考えても、チームにとっては大きなメリットになるよね」と語った。