「大相撲九州場所・14日目」(23日、福岡国際センター) 琴桜が大の里との大関対決を上手投げで制し、大関豊昇龍は関脇霧島をつり出し、ともに1敗を守った。トップに並ぶ両者は千秋楽の結びの一番で対戦し、優勝が決まる。大関同士の千秋楽相星決戦は…

 「大相撲九州場所・14日目」(23日、福岡国際センター)

 琴桜が大の里との大関対決を上手投げで制し、大関豊昇龍は関脇霧島をつり出し、ともに1敗を守った。トップに並ぶ両者は千秋楽の結びの一番で対戦し、優勝が決まる。大関同士の千秋楽相星決戦は、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降6度目。琴桜が勝てば初優勝、豊昇龍が勝てば2023年名古屋場所以来2回目のVとなる。

 横綱不在の九州場所は最高の形でクライマックスを迎える。2大関がともに自己最多の13勝1敗とし、千秋楽で激突する。悲願の初Vを狙う琴桜は「意識しようがしまいが変わらない。集中してやれば結果はついてくる」と取組後から表情を変えず、闘志を高めた。

 ヤマ場だった大の里戦は、対応力が光った。立って差しにいった右をおっつけられて押し込まれたが、すぐに上手を引いてこらえた。「落ち着いて取り切ることだけを考えた」。小手に振って180キロを超える巨体を浮かすと、そのまま豪快に投げ切った。場所前に4差あった大の里との年間最多勝争いも逆転し、確定。ただ、気は緩めない。「まずは目の前の一番に集中したい」。賜杯を懸けた豊昇龍との戦いだけを見据えた。

 大関同士の千秋楽相星決戦は、2003年名古屋場所の魁皇-千代大海以来で、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では6度目。近年は幕内の力が拮抗(きっこう)しており、12~13勝の優勝成績が目立ったが、今場所は大関のどちらが勝っても14勝1敗。同成績で徳勝龍(現千田川親方)が幕尻優勝した20年初場所以来、約4年ぶりに横綱以外がハイレベルな賜杯レースを繰り広げている。

 祖父に元横綱琴桜、父に佐渡ケ獄親方(元関脇琴ノ若)を持つ角界のサラブレッドとして期待されてきた。22年秋場所から負け越しは一度もなく、大関昇進を果たした今年の初場所では横綱照ノ富士と優勝決定戦で争うなど実力を高めてきた。しこ名を継いだ祖父の初Vは、くしくも同じ大関在位5場所目の27歳。これも巡り合わせ。「やれることをやるだけです」。同じ節目に土俵に満開の桜を咲かせる。