「キックボクシング・RISE」(23日、後楽園ホール) メインのRISEフライ級タイトルマッチ3分5回戦(延長無制限)では、ボクシングのWBOアジア・パシフィックバンタム級王者の那須川天心の弟で1位の那須川龍心(18)=TEAM TEPP…
「キックボクシング・RISE」(23日、後楽園ホール)
メインのRISEフライ級タイトルマッチ3分5回戦(延長無制限)では、ボクシングのWBOアジア・パシフィックバンタム級王者の那須川天心の弟で1位の那須川龍心(18)=TEAM TEPPEN=が、第2代王者の数島大陸(21)を1回2分12秒、KOで撃破し、新王者となった。
タイトル初挑戦となった龍心が、天心が最前列で見守る中、「想定していなかった」という1ラウンドKOで戴冠した。
龍心はチーム、そして天心と円陣を組んでからリングイン。「自信を持って戦いにいけた。勇気を持って前に出ることが裏テーマだった」という通り、立ち上がりから近距離でのパンチがさえわたった。
ジャブの応酬で数島が目の周りを赤くし、ローもカットしていなかったことから、「スピードに目が慣れていないと思った。会長からも今がチャンス、いけよコラ!と言われた」と決心して、勝負に出た。
そこからまず左が「ガチッと当たって(数島の)目の色が変わった」といい、続くワンツーの左フックでダウンを奪取。数島は立ち上がろうとしたがよろめいて後方に倒れかけ、レフェリーが試合を止めた。KOパンチの感触は「あまりなくて、抜ける感覚。でも当たった、不思議な感触で、これが倒すパンチなのかなと」と振り返った。
絶叫した龍心は涙をぬぐい、感涙にむせんだ。「数島選手がいたから僕もここまで来られました。倒せない倒せないと言われていて、マジで倒してやろうと思って、本当にたくさん練習してきました。結果に出て本当にうれしい」と喜んだが、ここがゴールではない。
「全然満足してない。まだまだこれからなんで。キックボクシングという競技が一番だと思ってるんで、キックボクシング、RISEを盛り上げていける器になれるようにこれからも頑張ります」と誓い、「父親母親のおかげでここまで強くなれました。ありがとうございました。いい結果でこれからも親孝行ができればと思っています」と両親に感謝。
RISEの伊藤隆代表にビッグマッチ「RISE WORLD SERIES 2024 FINAL」(12月21日、幕張メッセ)への参戦を直訴し、「RISE最高!」と叫ぶと、リングインした天心らと記念撮影に興じた。
会見では「本当にチャンピオンになっちゃうかー!と。実感ないですね」と心境を明かしつつ、「初めてキレイに倒してKOがタイトルマッチ、なおさらかっけーなと、さすがだなと思いました。自分で自分を褒めたい」と喜んだ。
天心も報道陣に加わり、「1ラウンドKOした時の感触だったりは」と質問ジャブをくり出した。既出だと返されると、すかさず「これを機にキックボクシングをどうしていきたいか、今のキックボクシング界に一言お願いします」とストレートな質問で追撃。龍心が「まだどうしていきたいのは正直ない」と答えると「具体的にお願いします」とたたみ込み、「注目度を使ってもっと盛り上げていきたい」との応えに「マイクはイマイチですね~」とのジャッジを下していた。
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セミのバンタム級3回戦(延長1回)では、5位の京谷祐希(36)=TEAM TEPPEN=がスーパーフライ級から上げてきた17歳下の長谷川海翔(19)=誠剛館=と対戦。1ラウンドに京谷の右脚がつってしまい、試合続行不可能と判断されて1回1分39秒、長谷川のTKO勝ちとなった。京谷は長谷川に「海翔は悪くないから」と声をかけ、悔し泣きした。
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第7、8試合にはライト級1~3位と元NKBスーパーフェザー級王者の高橋聖人(26)=トライアングル=が出場して、今後のライト級戦線を占う3分3回戦(延長1回)の2試合が行われた。
初参戦でいきなり1位の伊藤澄哉(28)=戦=と対戦した高橋は1ラウンド終了間際に強烈な右ハイキックを見舞い、伊藤はバッタリと前に倒れてピクリとも動かず失神。1回2分56秒、高橋がKO勝ちした。
高橋は「初参戦で1位の選手、皆さん負けると思ってたんじゃないですか?僕も厳しい戦いになると思ってたけど、狙ってた攻撃が入って1ラウンドKOできて、ホンマにうれしい。前の試合もあまりパッとしない試合してたんじゃないですか?僕が一番ベルトに近い人間じゃないかなと思ってます。最短ルートでベルト狙っていこうかなと思っています」と、早期のライト級王座挑戦をアピールした。
一つ前の試合では3位の塩川琉斗(22)=トップスター=が2位の北井智大(33)=チームドラゴン=を左ストレート、前蹴り、関節蹴り、膝蹴り、後ろ回し蹴りなどの多彩な攻め手でほんろうし、ジャッジ2人が30-27(1人は30-28)をつける内容で完勝。
現ライト級王者の中村寛には2022年に1位の伊藤、2位の北井が敗れていることもあって「63キロのベルト挑戦できるのは僕しかいないと思うので伊藤代表、お願いします」とアピール。「来年の年末しかタイトル(挑戦)できないと思うんで、61・5に落とすんでお願いします」と、来年予定される61・5キロトーナメント参戦もアピールしていた。
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第6試合のフェザー級3回戦(延長1回)は、7位の翔(24)=REVOLT=が13位の久津輪将充(27)=RMC/9+nine plus lab.=に1回1分40秒、TKO勝ちした。
両雄は果敢に打ち合い、翔が左フックで最初のダウンを奪取。コーナーに詰めてのラッシュで2度目のダウンを奪ったところで久津輪のセコンドからタオルが投入された。翔は「久津輪選手が打ち合ってきてくれたのでこういう面白い試合ができた」と感謝した。
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第5試合のフェザー級3回戦(延長1回)は、寺山遼冴(20)=フリー=がKING龍蔵(20)=ロイヤルキングス=に圧巻のKO勝ちを収めた。1回から精度の高いパンチと強烈な蹴りで攻め込み、3回に左の三日月蹴りで最初のダウンを奪取。最後は左ストレートで3度目のダウンを奪い、龍蔵を沈めた。
寺山は「パワーないと言われたんで、今日、RISE初KO勝ち。いい結果が残ったと思うので、来年タイトル戦線お願いします」と、ランキング17位からの急上昇を宣言した。
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第4試合で、昨年4月以来のRISE参戦となったGUMP(21)=TEAM TEPPEN=が鮮烈なKO劇を見せた。スーパーフェザー級3回戦(延長1回)で同級7位の岩郷泰成(26)=EX ARES=と対戦したGUMPは巧みな膝蹴りで試合をリードし、最後はコーナーに詰めてラッシュすると左ハイ一閃(いっせん)。2回2分32秒、KO勝ちした。
GUMPは「見てもらったら分かると思うけど、僕メチャクチャ強いと思うんですよ。来年トーナメントやるんですよね?僕どうですか」と61・5キロトーナメント参戦をアピールした。
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休憩明けには秀樹(33)の引退セレモニーが行われ、元選手のいつか夫人と2児、RISEの伊藤隆代表、新宿レフティージムの浜口謙一代表、激闘を展開した白鳥大珠、原口健飛らが花束を贈呈。子供たちからは感謝状が贈られ、いつか夫人は涙した。
秀樹は「挑戦そして挫折そして再起、この3つをサイクルしていたように感じます。その過程の中で数多くのことを学ばせていただきました。物事に対するとらえ方、とらえたことへのアクションの起こし方で学びが多かったと感じています」とRISEでの選手人生を振り返り、「どんなに苦しい時でも練習環境をつくってくださった浜川(憲一)会長、ジムのみんな、家族のみんな、後援会のみんな、本当にありがとうございました。どんな環境でも居場所を作ってくださったRISE関係者の皆さん、どんな絶望的な環境になっても応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました」と感謝を述べて、テンカウントゴングと最後のコールを聞いた。