プロボクシングWBOアジアパシフィック・バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦(14日、有明アリーナ)に挑むWBOアジアパシフィック同級1位・那須川天心(26)=帝拳=が2日、東京・神楽坂の帝拳ジムで公開スパーリングを行った。9戦全勝(…
プロボクシングWBOアジアパシフィック・バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦(14日、有明アリーナ)に挑むWBOアジアパシフィック同級1位・那須川天心(26)=帝拳=が2日、東京・神楽坂の帝拳ジムで公開スパーリングを行った。9戦全勝(4KO)のジェルウィン・アシロ(フィリピン)と初のタイトル戦を行う天心の仕上がりに、本紙評論家の元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏は太鼓判。パンチを出す両手ではなく、素早い「足」に注目した。
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天心の動きを見て、前回7月の試合から引き続きいい調整ができていることを感じた。ひとつひとつの動きが軽快であり、その中にキレがある。さらに世界ランカーとのスパーリングでひときわ目を引いたのが、パンチを出す手ではなく「足」だ。後ろ足でしっかり地面を蹴りそのパワーをしっかり拳に乗せ打ち込んでいた。防御を含め相手への反応も速い足さばきで難なく状況を打開する。最大の持ち味は「足」であり、あの足さばきをできる選手は正直、少ない。
今回がプロ5戦目。ようやくボクシングというものを理解し、自分のものにしたという動きになってきた。デビュー直後はキックとの違いに戸惑いもあっただろうが、しっかりコツをつかんだのだろう。パンチ力というものはそう簡単につくものでないが、流れの中でKOできる力がついたのはパンチの打ち方、当て方などがしっかり分かってきた証拠だ。
対戦相手のアシロは無敗のテクニシャンだ。ただ、スピードでは天心とでは差がある。前回は当時世界4位と格上のゴンサレス(米国)を3回TKOで下した。今回も同等のインパクトある試合を期待したい。なぜなら、私は世界前哨戦という位置づけで試合を見るからだ。(元WBC世界バンタム級王者)