◆プロボクシング ▽WBOアジアパシフィック・バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦 同級1位・那須川天心―同級2位・ジェルウィン・アシロ(10月14日、東京・有明アリーナ) WBOアジアパシフィックバンタム級1位の那須川天心(帝拳)が2…

◆プロボクシング ▽WBOアジアパシフィック・バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦 同級1位・那須川天心―同級2位・ジェルウィン・アシロ(10月14日、東京・有明アリーナ)

 WBOアジアパシフィックバンタム級1位の那須川天心(帝拳)が2日、都内の所属ジムで報道陣に練習を公開した。シャドーボクシング4回、ミット打ち1回に加え、WBO世界バンタム級2位クリスチャン・ヒメネス(メキシコ)とのスパーリング3回も披露。7月のジョナサン・ロドリゲス(米国)戦前の公開スパーリングでは何度も押し込まれた相手に、ラッシュをかけるなど成長を証明した。「見てもらえば分かる通り、減量中というか、しっかり顔も小さくなって、肌つやもよくて、すごく調子のいい感じですね」と初のタイトル戦に向け、自信を見せた。

 ロドリゲス戦では何もさせず”完封”。間や空間を支配して、相手にほとんどパンチを出させなかった。今回は足さばきやフェイントに磨きがかかり、様々な角度からパンチを打てるようになったため、相手の追い込みかたのバリエーションも増えた。今回も空間を支配し、「(自分と)対峙(たいじ)すると必然的に手が出なくなるというか、どうやってやればいいかわかんなくなるっていうのが、僕の中でのスタイルというか、自分の中のマジック」とアシロも術中にはめるつもりだ。

 実際、スパーリングしたヒメネスは「自分が打とうとすると少し動くので(パンチを)出しにくい」と天心のペースにはまってしまうことを認めた。前回の公開スパーリングの時と比べ「スピードもパンチ力もものすごく上がっている」と成長の早さにも驚きを隠さなかった。

 本業以外では女優の奈緒主演で8日スタートのTBS系連続ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」(火曜・後10時)でドラマ初出演することも決定。毎話、異なる役どころで、放送を見てのお楽しみという配役に挑戦する。現役でありながら連続ドラマに出演する前代未聞のボクサーは「何事も経験ということで。本当においしい役をいただきました」と笑った。

 今回の試合に勝てばタイトル奪取だけでなく、国内での世界戦挑戦資格を得ることになる。「世界を取るまでの切符が必要なので。本当、手段でしかない。おまけ、ハッピーセットみたいなもの」とあくまで通過点であることを強調する。その世界に向けては、先月3日に初防衛に成功したWBO世界王者の武居由樹(大橋)から試合後、リング上で「K―1時代には対戦できなかった。だからボクシング転向した天心選手とやりたい気持ちが強い」とラブコールが送られた。

 チャンピオンからの異例の対戦熱望には「そういう時期が近づいているのかなと思う反面、まだ5戦目。新人なんで。トランキーロ(スペイン語であせるな)。ゆっくり、あせらないで、もうちょっと待って下さいというのはある」と慎重。新日本プロレスの内藤哲也の決めぜりふである「トランキーロ、あっせんなよ」をマネて、余裕の笑みさえ見せた。

 戦績は26歳の天心が4戦全勝(2KO)、23歳のアシロが9戦全勝(4KO)。

 試合はPrime Videoで生配信される。