7月は“1万割れ”の危機も…8、9月と一気に増加 西武は1日にベルーナドームで日本ハムと対戦し、今季の本拠地での全カードを終えた。ホームでは72試合を行い31勝40敗1分けで終えた。チームは4月中旬から最下位に低迷し、8月にはBクラスが確定…

7月は“1万割れ”の危機も…8、9月と一気に増加

 西武は1日にベルーナドームで日本ハムと対戦し、今季の本拠地での全カードを終えた。ホームでは72試合を行い31勝40敗1分けで終えた。チームは4月中旬から最下位に低迷し、8月にはBクラスが確定していたが、観客動員は増え続け、前年を上回る155万5280万人を記録した。その背景には球団努力と「俺たちが支えないと」というファンの熱い思いがあった。

 ホーム最終カードとなった9月30日、10月1日の日本ハムとの2連戦。ともにチケットは完売し、西武のユニホームを着用した応援団が左翼スタンドを締め、大声援を送っていた。

 チームは4月中旬から最下位に沈み、そのまま順位を上げることはなかった。7月には1万560人や1万1765人など観客動員“1万割れ”の危機にも直面した。しかし、ここからファンの応援熱は冷めるどころか過熱していった。

 8月12日には優勝の可能性が完全消滅。同30日にはBクラス(4位以下)が確定し、クライマックスシリーズ(CS)進出の可能性は完全消滅したが、8月の平均動員は7月から約4000人増の2万2451人。春先をも上回る数字だった。

 夏休み期間だったとはいえ、断トツの最下位だったことを加味すれば動員にマイナスの影響があってもおかしくはなかった。9月に入っても動員の月平均は2万4427人を記録した。今季トータルでは155万5280人を動員。昨年から約13万人増え、コロナ禍以降最多となった。

球団も飲食やグッズの充実など応援環境を整えた

 球団は飲食やグッズをこれまで以上に充実させ、セレモニアルピッチなどイベント企画数も増加。また、限定ユニホームなど来場者への配布アイテムにも力を入れた。観戦初心者でもリピーターとして来場してもらえるような工夫をこらした。

 SNS上には低迷するチームを鼓舞するかのような「“俺たちが支えないと!”という思いが強くなり観客動員数が増えたのかな」「観客動員を増やした奇跡の営業と、西武ファンの忠義」「消化試合が一番客入ってる不思議」「2年連続100万達成の不思議」といったコメントが並び、ファンの“ライオンズ愛”が溢れていた。

 本拠地最終戦後のセレモニーで挨拶した主将の源田壮亮内野手「最下位という順位が決まったあとも、たくさんのファンの方々がお越しくださいました。ファンの方々の熱は選手全員に届いています」と感謝の思いを伝えていた。

 1950年の球団創設以降、前身時代を含めワーストを更新する91敗を喫している西武。勝てない時期が続いても、ファンの応援熱は相反して高まっていった。源田はファンに「この秋からしっかり練習して強いチームになって、来シーズンのこの時期はファンの皆さんと喜び合いたいと思います」と約束した。苦しくても選手を勇気づけたファンへの恩返しは、勝利以外にない。(湯浅大 / Dai Yuasa)