2年に一度の米国選抜と世界選抜(欧州を除く)の対抗戦「プレジデンツカップ」は、世界選抜が初日全敗の翌日に今度は全勝するというマンガのような展開となった。選手もギャラリーも大いに盛り上がった。 2日目の全勝劇の立役者となったのは、先陣を切…
2年に一度の米国選抜と世界選抜(欧州を除く)の対抗戦「プレジデンツカップ」は、世界選抜が初日全敗の翌日に今度は全勝するというマンガのような展開となった。選手もギャラリーも大いに盛り上がった。
2日目の全勝劇の立役者となったのは、先陣を切って7&6で大勝した松山英樹とイム・ソンジェ(韓国)ペア。その試合で、テレビには映らないマッチプレーの“オモシロさ”を垣間見るシーンがあった。
2アップで迎えた4番パー4、イムが放った第2打はピンまで約30ydの花道に止まった。3打目を担当する松山のアプローチはクリーンにインパクトしてピンに真っすぐ向かったが、スピンが少し利きすぎたのか、4mほどショートして止まった。それでも、イムがパーパットを沈めてガッツポーズ。米国ペアがボギーを打ち、このホールを獲った。
松山のコーチである黒宮幹仁氏と4番のプレーについて振り返ってみると、興味深い解説を聞かせてくれた。
2日目のフォーマットは、ペアが1つのボールを交互に打つフォアサム形式。ここでポイントになるのは、2人が普段使うボールだ。松山はスリクソンで、イムはタイトリスト。2人はタイトリストのボールでプレーすることを決めて試合に臨んでいた。
ルール上、1つのホールで使用するボールは、ティショットからホールアウトまで変更してはいけない。ホールごとに異なるボールを使うことはできるが、「選手は試合中に(ボールが)コロコロ変わることを嫌がります」(黒宮氏)。そこで松山が合わせやすいということで、タイトリストのボールに統一した経緯がある。
とはいえ、メーカーによってボール特性に違いも生じるはず。その辺りについて黒宮氏に尋ねてみた。
「タイトリストは、スリクソンに比べて少しだけ弾道が高く出る傾向にあります。なので、4番の松山のアプローチが少しショートしたでしょう? あれ、いつも(スリクソン)よりボール2個分ぐらい高く出ていたと思うんです。その差があったことで転がらず、ちょっとショートしたんでしょう」
ボール「2個分」と言われても、なかなか見分けることは難しい。ただ、常に松山のゴルフを近くで見ている黒宮氏の目には、その違いが“大きな差”に映るのだろう。
PGAツアーには「ショットリンク」というシステムがあり、試合中の全選手の全ショット、全パットの情報などさまざまなデータをデジタル環境で見ることができる。もはや現場を歩かなくても、多くの情報が手に入るようになっている。しかし、せっかく現場に来ているのなら、現場でしか得られない話題を伝えたい、そんなふうに思ったので、ここで書かせてもらった。(JJ田辺カメラマン)