スノーボードのハーフパイプの練習が、シーズンオフでもできる大規模な施設が、新潟県村上市にお目見えした。同市出身で、2022年の北京冬季五輪の同種目で金メダルを獲得した平野歩夢選手(25)の父、英功(ひでのり)さん(52)が、雪のない時期で…
スノーボードのハーフパイプの練習が、シーズンオフでもできる大規模な施設が、新潟県村上市にお目見えした。同市出身で、2022年の北京冬季五輪の同種目で金メダルを獲得した平野歩夢選手(25)の父、英功(ひでのり)さん(52)が、雪のない時期でも安全にトレーニングできる施設をつくりたいと計画から1年半かけて完成させた。屋外の施設で、冬季のハーフパイプと同じエア(空中技)を再現できる施設は、世界でもほとんど例がないという。
この施設は高さ19.65メートル、最大傾斜角は30.42度、フロントサイドとバックサイドの2コースがある。人工芝の上を滑り降り、勢いそのまま高い壁を駆け上がって空中に飛び出し、大型のエアマットに着地する。
英功さんによると、建設は今年2月ごろから始めた。前例がほとんどないため、改良を重ねて「ギリギリ竣工(しゅんこう)式に間に合った」という。
平野選手はこれまで、オフシーズンは雪を求めて海外に遠征せざるを得なかった。出かけた先でも、天候不良で練習ができないこともあったという。このため、北京冬季五輪後から「安定したトレーニング環境」を求めていた。
今後は、26年のミラノ・コルティナダンペッツォ(イタリア)冬季五輪を目指す平野選手らが、新技の習得に向けて練習する場所として活用する。また子どもたちが使う場合の安全性を確認した上で、練習の場として提供し、次世代のスノーボーダーの育成にも力を入れるという。
14日に行われた竣工式で、平野選手は3回のトリック(技)を披露。大技の「トリプルコーク1440」を繰り出し、招待された約30人の子どもたちや関係者を驚かせた。
新施設は、国内最大規模の屋内スケートボード施設に隣接。スケートボードで五輪に挑戦した経験のある平野選手は、「横乗りに特化した施設が地元にできた。可能性が詰まった夢のような環境を整えてもらったことがうれしいし、ありがたい」と語った。(久保田正)