パリ・パラリンピックで優勝を果たした車いすラグビー日本代表の選手、乗松聖矢さん(34)=熊本市=が25日、故郷の荒尾市を訪れ、浅田敏彦市長らに金メダル獲得を報告した。「支えてくれた多くの人に、このメダルを見てもらうことができるのが、メダル…

 パリ・パラリンピックで優勝を果たした車いすラグビー日本代表の選手、乗松聖矢さん(34)=熊本市=が25日、故郷の荒尾市を訪れ、浅田敏彦市長らに金メダル獲得を報告した。「支えてくれた多くの人に、このメダルを見てもらうことができるのが、メダルを取った意義」と喜びを語った。

 豊富な運動量を誇り「ディフェンス職人」と呼ばれる乗松さんは、今大会でも守備を中心に活躍を見せた。

 オーストラリアとの準決勝では、最終盤に「野球で言えば5点差くらい」(乗松さん談)となる2点差をつけられたが「自分たちを信じて、やるべきことをやり続けた」結果、延長に持ち込み逆転勝利をもぎ取った。米国との決勝戦は、会場に到着してバスを降りた瞬間、高い集中力や仲間への信頼感に満たされて「勝つな」と予感したという。

 過去2回の大会はいずれも銅メダルだった。日本代表チームの個々人の能力は世界でも高い水準にあると感じていた乗松さんは「あとは、いかに連係をうまく取るかだ」とコミュニケーションを意識したという。

 報告に同席した両親は、乗松さんが「金メダル以外はいらない」と言って大会へと旅立ったことを明かした。乗松さんは「周囲の人たちが容赦なく期待を言ってくれるので。僕のというよりも、まわりの人によって出た言葉です」と話して笑いを誘った。

 試合会場で多くの日の丸が掲げられているのを目にして感動した。「これだけたくさんの人が応援に来てくれている」。優勝が決まり、仲間や家族、応援してくれた人たちの顔を見ていると「本当によかった」と体の奥底から喜びがこみあげたという。

 金メダル獲得が車いすラグビーの普及につながってほしいと願う。「障害の有無にかかわらず、子どもらに人生でやりがいのあるものを見つけてほしい。僕自身、それで幸せになれたので」(吉田啓)