日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付編成会議と臨時理事会を開催し、関脇大の里(24)=二所ノ関=の大関昇進を満場一致で決めた。大の里は口上で「唯一無二の力士」を目指すと宣言。父…

 日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付編成会議と臨時理事会を開催し、関脇大の里(24)=二所ノ関=の大関昇進を満場一致で決めた。大の里は口上で「唯一無二の力士」を目指すと宣言。父・中村知幸さん(48)の願いを言葉に込め、比類なき存在になることを誓った。

 驚異的な速さで歴史を塗り替え続ける“ちょんまげ大関”にふさわしい口上だった。緊張の面持ちで、大の里はハッキリと決意表明した。「大関の地位を汚さぬよう、唯一無二の力士を目指し、相撲道に精進します」。思い描く未来は、誰とも比べられない最強の存在。壮大な目標を掲げた。

 自身の土台を築いてくれた人の思いを大事にした。内容は母校の新潟・海洋高の恩師に相談。父・知幸さんがよく「唯一無二になってほしい」と話していたことから提案を受けた。「もう、自分の中では『完璧だ、これだ』と思った。迷わず使わせていただきました」と即決。父子の絆が詰まった4文字が、晴れ舞台を彩った。

 ここまでの足跡を見れば、比類なき理想もうなずける。初土俵から所要7場所目の初優勝、同9場所での大関昇進と、最速を更新。新入幕から同5場所の昇進も、昭和の大横綱・大鵬の6場所を上回った。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)も「僕も結構好きな言葉。大の里の相撲スタイルは唯一無二のスタイルだと思う」と笑顔で認め「この個性をどんどん育てて、揺るがない形を作って、相撲の常識を崩してほしい」と大きな期待を寄せた。

 まだ入門から1年半。早くも看板力士の重責を担う。新たな地位を「協会の顔」と受け止めた24歳の新大関。「まさかこんなに早くなれると思っていなかった」と素直な胸中も明かしつつ「この番付になった以上、今までとは違う。もっと自覚を持って。結果がすべて」と覚悟を口にした。

 次に見据えるのは角界の頂点。九州場所と来年初場所で連続優勝やそれに準ずる成績を収めれば、昭和以降では羽黒山、照国の所要16場所を塗り替える同11場所での最速横綱昇進となる。「ほかに類を見ない、このような人は現れないというくらいのお相撲さんになりたい」。規格外の大器は、誰もまねできない唯一無二の歩みで夢を現実に変えていく。