第101回箱根駅伝予選会は10月19日、東京・立川市で開かれる。記念大会だった前回は13校が本戦に進んだが、今回の出場枠は例年通りの10校だけ。立川から箱根への道は狭く険しい。東洋大時代に4年連続で予選会に出場し、突破も落選も知る本紙箱根…

 第101回箱根駅伝予選会は10月19日、東京・立川市で開かれる。記念大会だった前回は13校が本戦に進んだが、今回の出場枠は例年通りの10校だけ。立川から箱根への道は狭く険しい。東洋大時代に4年連続で予選会に出場し、突破も落選も知る本紙箱根駅伝担当の竹内達朗記者(54)が、“重いレース”を大胆に占う。

 同じ緊張感でも高揚感がある新春の本戦と異なり、秋の予選会は悲壮感が漂う。空気は重く、責任も重い。見えないタスキをかけてレースに臨む学生ランナーの心情を理解しているつもりだが、彼らに敬意を表した上で、シビアな戦いをシビアに予想させていただく。

 予想の参考となるのは、持ちタイムよりも、箱根予選会と全日本大学駅伝関東選考会の実績だ。予選会はハーフマラソン10人(計約210キロ)、全日本選考会は1万メートル8人(計80キロ)の合計タイムで争う。人数、距離は異なるが、本質は同じ。失敗が許されないチーム戦で求められるのは「速さ」ではなく「強さ」だ。

 予選会校で最も勢いを感じさせるのが立大。昨年の予選会6位で、今年の全日本選考会では5位で初出場を決めた。立大に「速さ」をもたらした上野裕一郎前監督(39)の後を受けて今年4月に就任した高林祐介監督(37)は「強さ」を加えた。同じ場所で夏合宿を行った他校の複数の監督が「立大の練習内容がいい」と証言している。

 東海大は今年の全日本選考会をトップ通過。昨年の予選会は10位だったが、出場12人中10人が3年生以下。経験者が多いことは強みだ。

 前回の本戦で優勝候補の一角に挙げられながら、直前に体調不良者が続出し、13位に終わった中大は予選会の経験者は現4年生世代だけだが、地力が突出している。昨季の悔しさは反発力としてプラスに働くはず。連覇を目指す青学大の原晋監督(57)は「今季の中大は強い」と警戒する。予選会をトップ通過して本戦に挑むと見た。

 以上の3校は突破が【有力】だろう。

 【圏内】は日体大、中央学院大、神奈川大と予想。

 77年連続77回目の出場を狙う日体大は昨年の予選会経験者が9人。大記録を途切れさせてはいけないプレッシャーを力に変えるすべを持っている。中央学院大はハーフマラソンに強い選手が多く、タイムを稼げるエース吉田礼志(4年)もいる。神奈川大は今季から就任した中野剛監督(51)の下、地道な走り込みを重ね、今年の全日本選考会を7位で突破した。

 【ボーダーライン】には11校がひしめく。

 東京国際大は昨年の予選会で1万メートル日本学生記録(27分6秒88)を持つリチャード・エティーリ(2年)が転倒する不運があり、3秒差で本戦出場を逃したが、3週間後の全日本本戦では8位でシード権を獲得するなど実力は確かだ。

 注目は順大。本来ならボーダーラインにいるチームではないが、今年の全日本選考会では17位と大敗。4年ぶりの予選会となるため、学生の経験者がいないことも不安材料だ。4年前の予選会でトップ通過に導いた長門俊介監督(40)の手腕に期待がかかる。

 前回、10年ぶりの本戦出場を果たした東農大はエース前田和摩(2年)が鍵を握る。5月の日本選手権1万メートルで日本人学生歴代最高の27分21秒52をマークして3位になった後、体調不良となり、実戦から遠ざかっている。本来の実力を発揮すれば外国人留学生と個人トップ争いし、三浦龍司(当時順大、現スバル)が持つU20日本記録(1時間1分41秒)の更新も可能。逆に言えば前田の激走がなければ苦戦が予想される。

 ここまで17校。それ以外は自らが100%以上の力を発揮した上、ボーダーラインの複数校にアクシデントが発生した場合に【ミラクル】が起こりうる。

 1920年の第1回大会に出場した4校のうちの1校で「箱根オリジナル4」と呼ばれる慶大、筑波大など伝統校や流通経大など初出場を狙う新興校が奇跡を起こすか。私が低く評価した大学が本戦出場を果たした際は、自身の眼力を恥じた上で、心から祝福したい。(竹内 達朗)

【有力】

中大

立大

東海大

【圏内】

日体大

中央学院大

神奈川大

【ボーダーライン】

東京国際大

明大

日大

順大

駿河台大

国士舘大

山梨学院大

東農大

専大

麗沢大

拓大

【ミラクル】

慶大

上武大

流通経大

亜大

平成国際大

日本薬科大

筑波大

芝浦工大

武蔵野学院大

東京経大

桜美林大

明学大

立正大

関東学院大

育英大

湘南工科大

東大

 ◆第101回箱根駅伝予選会開催要項

 ▽日時、コース 10月19日午前9時35分、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地をスタート。立川市街地を回り、国営昭和記念公園にゴールする公認コースのハーフマラソン(21.0975キロ)。世界陸連の世界ランク対象競技会でもある。

 ▽競技方法 全選手が一斉スタート。各校、10~14人の登録選手の中から10~12人が出場し、上位10人の合計タイムで争う。留学生は登録2人以内、出場1人以内。上位10校が本戦の出場権を獲得する。

 ▽出場資格 関東学生陸上競技連盟男子登録者で23年1月1日~24年10月6日の有効期間内に1万メートル34分以内の公認記録を有すること。

 ▽関東学生連合 予選会で敗退したチームの選手で編成し、本戦にオープン参加する。