「オリックス2-9西武」(24日、京セラドーム大阪) 地鳴りのような大歓声が響く。凄まじい「岡田コール」がこだまする。19年間の思いを乗せ、オリックス・T-岡田が快音を奏でた。3万6217人の観衆がその証人。引退試合にふさわしい有終の一打…

 「オリックス2-9西武」(24日、京セラドーム大阪)

 地鳴りのような大歓声が響く。凄まじい「岡田コール」がこだまする。19年間の思いを乗せ、オリックス・T-岡田が快音を奏でた。3万6217人の観衆がその証人。引退試合にふさわしい有終の一打だ。

 セレモニーでは、妻への思いを語る際に涙が止まらない。「調子が悪い時は一緒に悩み、時に厳しく、一番近くで支えてくれてありがとう」。愛妻に、目の前で勇姿を届けることができた。

 ケツメイシ「カーニバル」に合わせ、ファンが一斉にタオルを振る。ボルテージが最高潮に達した中、七回の第2打席に向かった。その前に本塁打を放った杉本と抱擁し、力をもらった。今井の155キロ直球を右前へクリーンヒット。通算1193本目の安打に、最高の笑顔だ。

 九回2死の最終打席。超特大の“本塁打未遂”があった。田村の直球を強振し、白球は右翼ポール際に。ファウルを確信したT-岡田は苦笑いを浮かべ、その後空振り三振に倒れた。10年に本塁打王に輝いた長距離砲らしいシーンを演出した。

 誰よりも早く球場入りし、己を磨いた日々。気づかいの人でドジャース・山本や宮城ら後輩にプレゼントもし、今でも宮城は登板日に贈られたスニーカーを「大事で」と履く。こわもてでも優しいTさんがみんな大好きだ。

 「オリックスに入団して19年間、長いようで短く感じた。その時間は本当充実していて、最高の時間だったことに間違いはないです」。胴上げでは仲間の手で5度、宙を舞った。19年間、オリックス一筋で駆け抜けた日々に悔いはない。

 ◆T-岡田(本名・岡田貴弘=おかだ・たかひろ)1988年2月9日生まれ、36歳。大阪府出身。187センチ、100キロ。左投げ左打ち。外野手。履正社から2005年度高校生ドラフト1巡目でオリックス入団。プロ1年目の06年8月10日・西武戦でプロ初出場。10年に登録名を「T-岡田」に変更。本塁打王とベストナイン各1回(いずれも10年)、ゴールデングラブ賞1回(14年)。