<パリオリンピック(五輪):レスリング>◇10日(日本時間11日)◇女子62キロ級決勝◇シャンドマルス・アリーナ【パリ10日=阿部健吾】女子57キロ級の元木咲良(22=育英大助手)が決勝でイリーナ・コリアデンコ(ウクライナ)に12-1のテク…

<パリオリンピック(五輪):レスリング>◇10日(日本時間11日)◇女子62キロ級決勝◇シャンドマルス・アリーナ

【パリ10日=阿部健吾】女子57キロ級の元木咲良(22=育英大助手)が決勝でイリーナ・コリアデンコ(ウクライナ)に12-1のテクニカルスペリオリティー勝ちし、金メダルを獲得した。マイナス思考を武器に、00年シドニー五輪代表だった父康年さん(54)が果たせなかった親子2代の夢を成就させた。男子フリースタイル74キロ級の高谷大地(29=自衛隊)は銀メダルに輝いた。

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創設7年目の育英大レスリング部から2人の金メダリストが誕生した。女子57キロ級の桜井、62キロ級の元木を指導する柳川美麿監督(48)は中学卒業後に米国留学した異例の経歴を持つ。その経験が、指導の根幹に息づく。「うちは教員養成という目標を持たせて指導をすることも大事と考えてます」。約50人の生徒がいる。五輪の金メダルを目標にする選手もいれば、指導者の道を志す者もいる。引退後のキャリアを第一に考えさせる。

指導は斬新。練習中に動画を見て研究することを奨励。減量方法でも摂取カロリーなどを管理し、過度な減量が招くデメリットを避けている。元木は57キロから62キロに増量してから成績が伸びた。

大学では教育学部長。競技専念をよしとしない。今年1月、パリ五輪女子68キロ級代表決定プレーオフで敗れた石井に伝えた。「練習は休んでいいって言った。誰が授業休んでいいって言ったのか」。全力のサポートをした。年越しも一緒に過ごし、道場に通い詰めた。結果は残念だったが、人生にとって大事な事はある。石井はその言葉に「私の2人目のお父さんです。ここまで来させてくれて、人生を変えさせてくれてありがとうございます」と返信した。いま、4年後へと向かい始めている。いま、桜井も元木も助手として大学に残り、監督の教えを学び続けている。