競泳ニッポンのパリ五輪が終わった。メダルは男子400メートル個人メドレー松下知之(19=東洋大)の銀1つのみで、0個だった96年アトランタ大会以来の少なさとなった。競泳委員長の梅原孝之監督は「目標達成には程遠かった。本番でタイムを出す(こと…
競泳ニッポンのパリ五輪が終わった。メダルは男子400メートル個人メドレー松下知之(19=東洋大)の銀1つのみで、0個だった96年アトランタ大会以来の少なさとなった。競泳委員長の梅原孝之監督は「目標達成には程遠かった。本番でタイムを出す(ことの)足りなさが一番と思っている」と低迷の要因を分析した。
目標は(1)金を含む複数メダル(2)全員の決勝進出(3)3月の選考会タイム超えの3項目を設定していた。しかし、個人種目の決勝進出者は男女合わせて22人中9人にとどまり、達成には遠い結果となった。
情報収集の甘さもあった。今回の会場は水深が2メートル20で、一般的な大会で使用するプールより80センチ浅かった。これを事前に把握出来ておらず、競技初日4日前の初練習で驚く選手が続出。梅原監督は「私も7月半ばに知った。情報収集、調査不足と言われてしまえば、そうなのかなと思う」とリサーチ不足も浮き彫りとなった。
水泳界として向き合う課題は多い。近年、五輪選手の多くはスイミングクラブで水泳に親しみ、そこから選りすぐられてきた。しかし、水泳授業の民間委託が進み始め、関係者は「泳げないのが嫌でスイミングに通う子が多い。今後は親が『民間委託で泳げるようになるならいいや』となり、競技人口が減る可能性もある」と指摘する。次世代が憧れを抱く対象がトップ選手。今大会の結果を踏まえ、強化も担う梅原監督は「危機感がある。ロスに向けてターゲットを絞るのか、全体的に強くしていくのか」と言った。日本水泳が分岐点を迎えている。【松本航】