男子プロバスケットボールB1の宇都宮ブレックスは1日、新設されるトップカテゴリー「Bリーグ・プレミア」の参入要件を満た…
男子プロバスケットボールB1の宇都宮ブレックスは1日、新設されるトップカテゴリー「Bリーグ・プレミア」の参入要件を満たす新アリーナの建設を延期すると発表した。宇都宮市内で計画しているが、期限に間に合わないと判断した。当面はいまの本拠地である宇都宮市体育館の改修で対応する。
宇都宮市役所で、宇都宮ブレックスの運営会社の栃木ブレックスの藤本光正社長と佐藤栄一市長が記者会見して明らかにした。
両者によると、ブレックスは宇都宮市元今泉5丁目の宇都宮駅東公園を候補地として、新アリーナの建設を計画していた。公園の敷地面積は約4ヘクタール。次世代型路面電車(LRT)の駅東公園前停留場から徒歩約3分で、ブレックスが現在本拠地としている市体育館に隣接している。
Bリーグは2026―27シーズンから新たなトップカテゴリー「Bリーグ・プレミア(Bプレミア)」を創設する。このカテゴリーに参入するには、ホームアリーナを収容人数5千席以上にするなど一定の条件を達成する必要がある。
市体育館の収容は立ち見席を含めて5005席で基準を満たしているが、そのほかの条件であるVIP専用設備、常設の飲食物の物販スペース、基準とするトイレ数などの設置は満たしていなかった。
藤本社長によると、約4年前から新アリーナ整備をめざして検討を進めてきたが、パートナーに予定していた企業の撤退や東京五輪などをきっかけに起きた建築費の高騰が影響し、Bプレミア参入審査期日である10月までに新アリーナの計画策定が困難になったという。
ブレックスは「Bプレミア参入が最優先事項」として現在の本拠地である市体育館を改修する方針に転換する。7月に改修の要請を受けた宇都宮市は25年秋までに80基のトイレの新設などの改修を実施する方針だ。部分的な改修工事となるので休館はしない。
費用は約3億円で市が負担し、今年9月の市議会に必要な議案を出す予定。
佐藤市長は「ブレックスは市民にとってかけがえのない財産だ。常にトップリーグで戦うことができる環境をつくることも私たちの責任だ」と説明。「Bプレミア参入審査に合格できる改修内容の目ぼしを付けることができた。利用者の利便性の向上につながるので、市が改修する」と話した。
しかし課題も残る。Bリーグはチャンピオンシップの決勝を開催する施設には8千席を求めている。このため、ブレックスは改修計画でBプレミア審査に合格した後も、新アリーナ計画は継続していくと説明している。
藤本社長は取材に「まだ調整中のため、新アリーナの規模などは公表できないが、チャンピオンシップの開催を踏まえた施設を考えていきたい。今よりももっとバスケットが楽しく見えて、バスケット以外でもたくさんの方が訪れるようなアリーナにしたい」と述べた。(山下龍一、重政紀元)
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<Bリーグ・プレミア> Bリーグが現在のトップリーグのB1に代わって2026―27シーズンに導入をめざすトップカテゴリー。「世界基準の技術力を誇り国際大会でも活躍するクラブの誕生」を目標とする。参入を希望するクラブは、(1)年間売上高12億円以上(2)ホームゲーム平均入場者4千人以上(3)ホームアリーナの収容人数5千席以上(4)VIP専用設備の設置(5)観客エリア入場可能人数の3%が同時に利用可能な数のトイレを設置――などを達成する必要がある。原則18クラブまで参入できる。