創立140年の歴史を持つ弘前が、春季高校野球青森県大会で4強まで勝ち上がっている。初戦の青森工戦ではエース右腕・桑田乙矢(おとや)投手(3年)が5安打10奪三振で完封。3回戦以降は、桑田が先発し、宮本礼士内野手(3年)がクローザーを務める勝…

創立140年の歴史を持つ弘前が、春季高校野球青森県大会で4強まで勝ち上がっている。初戦の青森工戦ではエース右腕・桑田乙矢(おとや)投手(3年)が5安打10奪三振で完封。3回戦以降は、桑田が先発し、宮本礼士内野手(3年)がクローザーを務める勝利の方程式で公立校唯一の4強入り。25日の準決勝では弘前学院聖愛と対戦する。84年以来40年ぶりの東北大会出場がかかるが、チームが掲げるのは「負けない野球」ただ1つ。信念を貫き、強豪私立の難問をクリアする。

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弘前は県内有数の進学校。野球部にも旧帝大などの国公立難関大を目指す生徒が多数在籍している。京大志望の桑田は「勉強もやりながら野球もやることが僕らの専売特許」。1つ上の代は3季連続の県8強を成し遂げるなど、勉強との両立でもしっかりと結果を残してきた。

しかし昨秋は、青森に6-9で敗れ初戦敗退。新チームのスタートは赤点に近かった。桑田が「1勝が大事で、貴重なものだとみんなが理解した」と言えば、宮本は「秋はエラーが多かった。チャンスでも1本が出なかった」。課題は山積み。野球は勉強よりも難しかった。

課題に向き合い、全員が先頭に立って野球に取り組んできた。冬は、守備では「きれいにアウトを取る」ではなく、どんな打球も体の中で収めることを意識しアウトの確率を上げた。打撃では、ヒットを打つだけではなく走者を進める、点を取るためにそれぞれがどういう役割ができるのかを考え、徹底してきた。

「勉強より難しい」と感じた野球が、今は「勉強より楽しい」と思えている。桑田は「勝ててうれしい、それに尽きます。勝つために練習して努力して…。今勝てていることで、スキルや探求心も上がっていく。さらに強くなれるんじゃないかなって」。勉強を重ね、試験で結果が出ることと何ら変わらない。宮本は「(野球は)なんでミスしたのかを分析して、2回目は同じことをしないようにする部分が勉強と似ている」。この春は、分析して弱点克服をした成果がしっかり表れている。

次戦に向けて「負けない野球を続けていくことがただ1つの目標です」と桑田。東北大会出場や優勝よりも、目の前の試合が大事。勝利という「合格」の先に、さらに楽しい未来が待っている。【濱本神威】

◆弘前 1884年(明17)に「青森県中学校」として創立。1889年に弘前移転。野球部は1902年創部。部員21人。甲子園は71年春出場。1回戦で普天間(沖縄)に2-3で敗れた。主な卒業生は三浦雄一郎(登山家)川口淳一郎(宇宙工学者)シソンヌ・じろう(お笑い芸人)。所在地は青森県弘前市新寺町1-1。古川浩樹校長。