◆プロボクシング ▽WBO世界スーパーフライ級(52・1キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇王者・中谷潤人(判定)同級6位アルヒ・コルテス●(18日、東京・有明アリーナ)

 2階級制覇のWBO世界スーパーフライ級王者・中谷潤人(25)=M・T=は同級6位アルヒ・コルテス(28)=メキシコ=を3―0の大差判定で下し初防衛に成功した。戦績は中谷が26戦全勝(19KO)。

 終了のゴングと同時に笑顔がはじけた。採点を聞くまでもない。凱旋防衛に快勝し力強く拳を突き上げた。「防衛するって気持ちじゃなく、勝つって気持ちでやってた。判定ですがダウン奪えて勝てたのは良かった」

 初回から長いリーチを生かして左を打ち込み、5回に左右のボディーで2度のダウンを奪った。6回にコルテスの右を顎に受けロープを背にするがピンチはこの1回限り。9回に再びボディーでダウンを奪い2人のジャッジが13ポイント差という圧巻の内容。昨年9月にWBC王者フアンフランシスコ・エストラダ(メキシコ)に僅差判定負けした挑戦者も敵ではなかった。

 5月に米ラスベガスでモロニー(オーストラリア)との王座決定戦を12回KOで制し2階級制覇に成功。一撃でキャンバスに沈めたKOは、本場ベガスのファンだけでなく、世界中のボクシン関係者を驚かせたほど衝撃的なシーンだった。

 日本ボクシング界の次期エースは4階級制覇のスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)に刺激を受けている。「尚弥選手との対戦は可能性としてあるし、実現すれば絶対に盛り上がるファイトをお見せする自信がある」。身長171センチと軽量級では大柄。来年以降、バンタム級に上げる可能性もあり、将来的にはフェザー級までの5階級制覇へと夢を広げる。「スーパーフライでやるなら統一戦やりたい。どのチャンピオンでもやりたい気持ちはあります」。26戦無敗の25歳、無限の可能性を秘めている。(近藤 英一)

 ◆中谷 潤人(なかたに・じゅんと)1998年1月2日、三重県生まれ。25歳。中1からボクシングを始め、U―15全国大会で2連覇。中学卒業後、単身で米国留学した。2015年4月にプロデビュー。16年度全日本フライ級新人王。初代の日本フライ級ユース王者。19年2月、日本フライ級王座を獲得した。20年11月、WBO世界フライ級王座決定戦でマグラモ(フィリピン)に8回KO勝ちし王座獲得。2度の防衛後の22年、スーパーフライ級に転向。23年5月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得した。171センチの左ボクサーファイター。