◆プロボクシング ▽フェザー級(55・7キロ以下契約)8回戦 〇那須川天心(判定)ルイス・グスマン●(18日、東京・有明アリーナ)

 “キックの神童”と呼ばれた那須川天心(25)=帝拳=が、メキシコ・バンタム級王者ルイス・グスマン(27)=メキシコ=を判定で下し、ボクシング転向2連勝を決めた。初回、強烈な左ストレートでダウンを奪うと、7回にもダウンを演出。KO勝ちは逃したが、ジャッジ3人がフルマークをつける完勝だった。

 開始のゴングが鳴ってすぐに天心の進化を感じた。スピード、パンチを出すタイミング。4月のデビュー戦から5か月で比べものにならないほど成長していた。初回に奪ったダウンシーンは、相手のパンチをかわし左を絶妙なタイミングで打ち込んだもの。天心はスピードとパンチを当てるタイミングに天性のものがある。体のバランスがいいから、どんな体勢になってもパンチを打てるし、逆に避けることもできる。

 ボクシングに転向してまだ2戦。これからキャリアを積むことでより進化してしていくだろうが、初回に奪ったダウンを見てKO決着になるだろうと思い、試合を見ていた。私と天心のボクシングスタイル自体が違うのでいいアドバイスになるかは分からないが、タイミングで出すパンチの中に、変化を加えて一発でもいいから目いっぱいウェートを乗せたパンチを出してみてはどうかと思う。ボディー打ちを増やすことも、攻撃の幅を広げるだろう。キラリと光る才能はこの日のリングでも証明できた。次こそ天心のKOを期待したい。(元WBC世界バンタム級王者・山中 慎介)