◆バレーボール女子 ▽パリ五輪予選兼W杯 B組 日本3―0アルゼンチン(17日・東京・国立代々木競技場)

 世界ランク8位で予選B組の日本は、同18位のアルゼンチンをストレートで下し、開幕2連勝とした。日本は、井上愛里沙(28)=日本協会=の強打や宮部藍梨(25)=姫路=のライト攻撃などで主導権を握り、2セットを先取。第3セットの競り合いも井上が効果的にスパイクを決めるなど両チーム最多の17得点でアルゼンチンを振り切った。6大会連続の五輪出場へ次戦は19日、同22位のプエルトリコと対戦する。

 日本の笑顔がコート上に広がった。第3セットの競り合い。24―23から、古賀主将のスパイクがアウトと判定されたが、真鍋政義監督(60)のチャレンジで、アルゼンチンにブロックタッチが判明。開幕2連勝が決まると、指揮官は「ストレートで勝って、ほっとしている」と頼もしそうに選手を見つめた。

 日本にリズムを持ち込んだのは井上だった。第1セット。フェイント、強打、プッシュとスパイクを3連続で決めるなど、12―4と大きくリードし、アルゼンチンに流れを渡さなかった。16日のペルー戦で14得点したエース・古賀がセッターの関との呼吸が合わず、なかなかスパイクが決まらない中、井上は第3セットの競り合いでも存在感を発揮。「試合の出だしでチームに勢いをつけようとスパイクを打ちました。第3セットは私にトスを上げてほしいと思ってプレーしました」

 両チーム最多17得点を重ね、思わず笑みがこぼれた。9得点に終わった古賀への相手マークは厳しかったが「私が(スパイクを決めて)できるだけ長く前衛にいて、(古賀)紗理那の負担を減らしたい。紗理那だけのチームじゃなく、一人ひとりが点数を取る意識でやっている」と井上。真鍋監督も「スパイクは本当に安定している」と評価した。

 井上は、大きな夢だった東京五輪で代表選外。21―22年シーズン、久光をVリーグ制覇に導いたのを花道に「引退」が心に浮かんだ。だが、古賀に次ぐ攻撃のピースとして、得点力を信頼していた真鍋監督から「一緒にパリを目指さないか」と言葉をかけられた。再び、夢ができた。昨季は、ネーションズリーグなどで活躍し、古賀の対角を任されるようになった。今季は対戦相手から対策されても「この1か月の練習で、セッターと話し合い、コースの打ち方を変えるなどやってきました」と自信。B組で2枠の24年パリ五輪切符争い。強豪トルコ、ブラジル戦を前に、頼もしさは増した。(久浦 真一)

 ◆バレーボール女子パリ五輪予選 24チームが3組に分かれて総当たり戦を行い、各組上位2チームがパリ五輪出場権を獲得。勝ち点は3―0、3―1の勝利で3点、3―2で2点を獲得。敗戦は2―3なら1点が得られ、1―3、0―3では0点となる。順位は〈1〉勝数〈2〉勝ち点〈3〉セット率〈4〉ポイント率の順で決まる。A組は中国、B組は日本、C組はポーランドで開催。