◆大相撲 ▽夏場所12日目(25日、東京・両国国技館)
関脇・霧馬山が大関昇進に当確ランプをともした。カド番の大関・貴景勝を寄り切って10勝目。昇進目安とされる「三役で直近3場所合計33勝」に到達した。4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士は新関脇・若元春を寄り倒して1敗を守った。並走していた元大関の東前頭14枚目・朝乃山は、関脇・大栄翔の押し出しに屈し、2敗に後退。照ノ富士が1敗で単独トップに立ち、1差で霧馬山と朝乃山が追う展開となった。
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どちらが大関なのか分からない内容でした。霧馬山は、大関・貴景勝に完勝しての10勝ですから、大関昇進に文句なしではないでしょうか。立ち合いは強く当たってないように見えますが、しっかり圧力がかかっており、突っ張ってくる貴景勝の肘が伸びず、押されませんでした。そこから素早く右下手を取ると最後はかいな(腕)を返し、腰も下りた万全の寄り切り。素晴らしいのひと言です。
左四つ得意の霧馬山ですが15日間すべてで、理想の型になるのは困難です。その中で、苦しい相撲を耐えて勝つ粘り強さと、容易に相手の型にさせない技術が直近3場所合計33勝につながりました。大関になれば次の目標は当然、横綱です。今場所を見ても引き技に屈した取組もあり、まだ安定感に欠けるところがあります。これからは左四つをもっと磨き、こうなったら自分が一番強いんだという型ができれば、一番上の番付は近づいてくるはずです。(宮城野親方=元横綱・白鵬、スポーツ報知評論家)