ボクシングの元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎(52)の次男、寿以輝(26)=大阪帝拳=が24日までにデイリースポーツの取材に応じ、3年ぶりの試合出場を目指す2023年の決意を語った。相次ぐ故障にコロナ禍も重なり、2020年11月の試合を最後に2年以上が経過。日本王座挑戦を視野に入れながらの挫折となったが、20代で眼疾による引退危機に陥った父を思い、「もう一度日本ランク入り」と気持ちを奮い立たせている。

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 いつもは一人でママチャリに乗ってジムに来る丈一郎。しかし、取材日は2人一緒に登場した。寿以輝の運転で来たといい、練習が終わると、「もう帰るで!」と支度をせかされて帰路についた。

 練習中、父はちらちらと息子へ目をやりながらも指導はしない。「見守るしかない?」と聞くと、「あいつが遠回しに見ていればいいんよ。親のやっとることを」と返した。

 練習前の丁寧なストレッチ、被弾に耐えるための首の強化、拳を石のように堅くする“指立て伏せ”。試合のメドはない。それでも実戦を想定したルーティンを淡々とこなす。

 父の全盛期を動画でしか知らない寿以輝だが「今も昔も、おやじはすごいと思っている」と言う。「現役」に固執し続けるカリスマの晩節は、議論の的になってきた。それでも、無言の背中は確実に息子に道を示している。(デイリースポーツ・船曳陽子)