<ラグビー・リーグワン1部:相模原27-27静岡>◇第5節◇22日◇神奈川・相模原ギオンスタジアム◇観衆3420人

今季から1部に昇格し、昨秋の日本代表は0人の三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原)が、またしてもラグビー界を驚かせた。

5点を追う後半40分、相手陣でボールをつないで攻撃を続け、最後はCTBヘンリー・ブラッキン(34)がラック際で体を反転しながらインゴールに飛び込んだ。ビデオ判定で同点トライが確定すると、観客は立ち上がって拍手。SOジェームス・シルコック(25)のゴールは外れたが、途中出場した38歳のフッカー安江祥光は「どこのチームよりも走ってきた。90分間戦えるぐらいの練習量があって、最後取り切れた」と前後半80分の試合以上の強度という練習に胸を張った。

今季の相模原の象徴的なシーンがあった。

同点トライの後、後半41分にSOシルコックが担ったゴールキック。決まれば逆転勝利だったが、ゴールは失敗となった。

その直後、1人、2人、3人…と仲間がシルコックに駆け寄った。司令塔はこの日、5PG、1ゴールを決め、そこまで成功率100%だった。安江は「『あの状況の中で蹴ってくれてありがとう』という気持ちです。プレッシャーと戦い、蹴ってくれた彼を尊敬します」と思いを口にした。

今季はリーグ開幕約5カ月前の7月18日に始動。元ニュージーランド代表NO8ジャクソン・ヘモポ(29)らにも“特別待遇”はなく、真夏も走りに走った。一例が「オフサイドタッチ」と呼ばれるグラウンド1面を使ったゲーム。ボールを前に投げることが許されており、相手インゴールに持ち込めば得点となるが、その際に攻撃側のチーム全員がインゴール近くの定められたエリアにたどりつかなければ“罰走”が待っている。就任1年目のグレン・ディレーニー・ヘッドコーチ(49)は「選手は楽しくないが、僕は楽しいよ」と笑わせ「やる理由としては、周りがどういうプレーをするか学ぶ。疲れた状況でプレーをする」と説明する。

日々の厳しい練習で一体感を培い、試合終盤でのタフさが身に着き、第2節でトヨタヴェルブリッツ、前節には東芝ブレイブルーパス東京など強豪を破ったことで過程は自信になった。

この日の会見の最後、主将のSH岩村昂太(29)は最後のキックを外したシルコックについて言及した。

「シリはスキルフル。チームからの信頼がある。(そこまでの)シリのキックがなければ、逆転にいくチャンスすら作れなかった。リスペクトしているからこそ、みんなで慰めにいきました。ああいう時にチームの色が出る。キャプテンとして見ても『すごくいいチームだ』と思いました。こういう絆はこれからのシーズンにもつながってくる。シリには感謝したいです」

開幕から5試合を終えて、3勝1分け1敗の5位。残り11試合、相模原の挑戦は続く。【松本航】