(24日、明治神宮野球大会 高校の部・決勝 大阪桐蔭6―5広島・広陵)

■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

 四回を終わって0―5。

 ここから試合をひっくり返すんですから、やっぱり大阪桐蔭は強いです。

 一気に5点差を追いついた五回の攻撃は見事でした。

 左打者がみんな左方向に強い打球を打とうとしていました。

 左翼手が打球を見失う幸運もありましたが、この意識、徹底力が王者のすごみです。

 序盤は大阪桐蔭らしくない守備のミスが続きました。高校生のやる野球にミスはつきものです。

 しかも、新チームになってまだ3カ月ですからね。

 劣勢になっても決してあわてず、やるべきことをやり通す。

 そうやって五回に追いつき、六回に1点を勝ち越すと、その裏から西谷浩一監督は、エースの前田悠伍君をマウンドに送りました。

 前田君は今秋、調子が悪い時期もありましたが、最後の最後に素晴らしい投球を見せてくれました。

 ボールが抜けて浮いてしまう場面が、この試合ではほとんどありませんでした。

 状況によってはスライダーを続けるなど、捕手の南川(みながわ)幸輝君のリードもよかったです。

 広陵も大阪桐蔭とがっぷり四つに組んだ好勝負を演じました。

 主砲の真鍋慧(けいた)君は力がありますね。ツボに来た時の飛距離はすごいです。

 四回の2点本塁打は神宮球場の右翼席中段まで打球を運びました。

 そこまでの2打席は振り遅れていました。「まだ頭と体が起きとらんのとちゃうかな」と思ってましたが、投手が代わった3打席目はジャストミートしました。

 八回に前田君から打った中前安打も火の出るような当たりでした。

 前田、真鍋両選手は昨年のこの大会でも注目されましたが、さらにでっかく成長しました。

 広陵は、投手交代が1テンポ遅れたのが悔やまれるのではないでしょうか。

 五回に4点を失って1点差まで詰め寄られ、さらに2死満塁とされたところで、ようやく継投を決断しました。

 満塁のピンチでマウンドに上がる投手は大変です。押し出し四球を与えて同点とされてしまいました。

 僕は満塁での継投はしないように心がけていました。その前に代えればいいんです。

 あの場面は、先発投手の球威も落ちてきているように感じました。

 それにしても、新チームになって間もない明治神宮大会で2年続けて決勝まで勝ち進んだ両校は、やっぱりレベルが高いです。

 これに準決勝で大阪桐蔭に敗れた仙台育英もからんできます。

 来春の選抜大会が今から楽しみです。

 今年の野球シーズンが終わろうとしています。

 コロナ禍が続く中、選手に試合をする機会をたくさん用意して下さった関係者の皆さんのご尽力に感謝申し上げます。

 来年も選手たちがいっぱい熱戦を見せてくれるでしょう。

 高校野球ファンの皆さんとともに楽しみにしとります。(前・智弁和歌山監督)