<記者の目>

日本の高校野球は、今も魅力にあふれていた。最後に高校野球に触れたのは、30年前の92年夏。今や語り草となった「星稜・松井5連続敬遠」の後、多数のメガホンが投げ込まれる甲子園の異様な光景を目の当たりにした。その対戦相手が明徳義塾。今大会のJAPANの馬淵監督だったのも不思議な縁だった。

確かに、野球界も変わった。今回3位となったことを「パワー不足」と捉える意見があることは否定しない。ただ、体格差は埋めようがない。MVPに選出された米国の主砲エルドリッジは身長201センチ、体重100キロの「二刀流」。だが、他国が四球攻めで逃げた大砲に対し、米国戦で真っ向勝負を挑んだ速球派の山田と変則左腕の吉村は、いずれも空振り三振に仕留めた。パワーに屈しない精度の高い制球と技術、頭脳的な配球。それこそが、日本野球の真骨頂だった。

木製バットとなる国際大会のたびに、金属バットの弊害を指摘する声も聞かれる。だが、馬淵監督は「それはさほど関係ない。実際、点は取れる。大事なのは投手力」と言い切る。プロ入り後、体を鍛え、エンゼルス大谷、ソフトバンク柳田のように豪快なフルスイングで勝負できる選手も増えてきた。だが、身体的にも発育途上の高校生にメジャー級の大きな軌道のスイングを求めても、結果にはつながりにくい。逆に、高い身体能力を持ちながらメジャーリーガーの形だけを模倣した末、消えていく選手も米国には数多い。

今回のJAPANが見せた秀逸な選球眼、勝つためのチーム打撃、投手力がハイレベルであることは間違いない。かつてイチロー氏が「頭を使う野球」と表現した、野球IQの高い日本の良き伝統は今も変わっていない。その一方で、セレモニー後、言葉はうまく通じずとも、携帯電話を手に米国など他国選手に物おじすることなく歩み寄り、はしゃぎながら記念撮影する高校球児たちが、とても頼もしく思えた。【MLB担当=四竈衛】