◆大相撲 ▽夏場所6日目(13日、東京・両国国技館)

 西前頭3枚目・玉鷲が、横綱・照ノ富士から3場所連続の金星を挙げた。押し出しで圧倒した。金星通算6個中3個を照ノ富士から挙げ“キラー”ぶりを発揮。同一横綱からの3場所連続金星は昭和以降では最長タイで、1965年春場所の大豪以来、57年ぶりとなった。東前頭11枚目・碧山が無傷6連勝で単独トップ。1敗は玉鷲、碧山との全勝対決に敗れた一山本、翔猿、佐田の海の平幕4人と荒れ模様となってきた。元大関・琴風の尾車親方は「照ノ富士の立ち合いが安易でお粗末だった」と指摘した。

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 37歳の玉鷲の金星も立派だが、それ以上に照ノ富士の立ち合いが安易でお粗末だった。右から張って左胸を出す“張り差し”。この立ち合いは奇襲、変化と一緒なのである。不意打ちを狙って相手の顔が横を向いたスキにまわしを取る作戦だが、最大の弱点は当たりが弱くなることだ。

 実際、照ノ富士の立ち合いの足の位置を見てほしい。ほぼ定位置だ。玉鷲の火の玉のような当たりは逆に踏み込まないと一気に持っていかれる。右の張り手で右脇が空いたところをハズで押され、膝の悪い横綱には残す力もなく、まさに屈辱の電車道。理解に苦しむ立ち合いだった。

 28歳で引退した私が論じるのは場違いかもしれないが、37歳は未知の領域だ。同じ二所ノ関一門の力士としてずっと注目してきたが、稽古の量と質は称賛すべきものがあった。一門の合同稽古では幕下以下の力士と同じ時間から汗をかき、土俵では人一倍の番数をこなしてきた。玉鷲のはち切れそうな体を見て「3年先の稽古」という言葉を再確認した。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)