◆大相撲九州場所12日目(25日、福岡国際センター)

 西前頭15枚目・阿炎が同6枚目・玉鷲を突き出しで破り、1敗を死守した。好調同士の対決を制して優勝戦線に踏みとどまった。13日目は割崩しで、同じく1敗をキープした大関・貴景勝との一番が組まれた。さらに星を伸ばせば、無傷12連勝で単独トップを堅持した横綱・照ノ富士戦が組まれる可能性も浮上。勢いを増す27歳が、史上3人目の再入幕場所での優勝へ向け、大物食いを狙う。尾車親方は「力強い突き押しに変化と成長を感じた」と評論した。

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 阿炎の力強い突き押しに変化と成長を感じた。立ち合いは玉鷲に押されたものの、体勢を低くして反撃。上から覆いかぶさってきた玉鷲を下からグイグイと押し上げて一気に突き出した。一発の突きの重みが、好調な玉鷲に相撲を取らせなかった。すごい馬力だ。

 謹慎処分前は回転の利いた上突っ張りが武器だった。跳んだり跳ねたりと土俵の丸さをうまく利用していたイメージもある。復帰してからは押しに徹している。上突っ張りは手の指先を利用していたもので軽い。それが今場所は親指の下の分厚い部分で的確に相手の胸を突いている。ボクシングで例えるならジャブから一撃必殺のストレートに変わったということ。そこに阿炎の成長と変化がある。

 13日目は大関・貴景勝との1敗対決。勝負のポイントは立ち合い。引き技を封印して前に出る阿炎に対して、貴景勝が得意の左からの強烈ないなしをどのタイミングで出すか。胸が躍る一番となった。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)