オリックス・バファローズが1996年以来、四半世紀ぶりの優勝に向け、マジック点灯を目前にしている。25年ぶりとなる夢に近づいた要因には、打線の変貌(へんぼう)があった。(数字は10月13日現在)

 昨季のチーム打率はリーグ4位の2割4分7厘。442得点は最少で、首位打者の吉田正尚が孤軍奮闘していた。今季は打率2割5分1厘はリーグトップ、528得点は同2位だ。

 杉本裕太郎が起爆剤となった。ドラフト10位で入団6年目の30歳。190センチ、104キロの体格で人並み外れたパワーを持っていたが、粗さが目立っていた。追い込まれてからは強振しない柔軟な打撃を身につけると、打率3割4厘で、リーグトップの31本塁打。頼れる4番に成長した。

 5月中旬。3番吉田正の前を1番福田周平、2番宗佑磨、後ろに杉本が座る。ファンに「福宗正杉」と呼ばれる打線が固まった。

 生まれ変わった打線を、地力に定評のあった投手陣が支えた。エース山本由伸は17勝5敗、防御率1・46、193奪三振と圧倒的な力を示した。もう一人の柱の山岡泰輔が右ひじの故障で離脱したが、入団2年目の宮城大弥が頭角を現した。12勝3敗で勝率8割を誇る安定感だ。

 昨季チームセーブ数が12球団最少の20と課題だった抑えに、大リーグから4季ぶりに復帰したベテラン平野佳寿がはまった。

 言うまでもなく、この投打の活躍は、中嶋聡監督の手腕があってのものだ。

 ベテラン遊撃手の安達了一を二塁手に回し、高卒2年目の紅林弘太郎を遊撃手に抜擢(ばってき)。足を生かすために二塁手の福田周平を中堅にコンバートし、外野兼任だった宗佑磨を三塁手に固定した。2軍監督を務めた経験から、どうすれば選手たちが能力を発揮できるか、観察していたのだろう。

 25歳の宗、23歳の山本、20歳の宮城、19歳の紅林……。高卒入団の若い力が躍進を支えた。将来性ある選手を発掘したスカウトの眼力と、球団の育成力も光る。(佐藤祐生)