信じて、一丸となって手にした銀メダル。決勝戦では全員得点。ここまでの戦いぶりを象徴するようなエピソードだ(写真/©fiba.basketball)    アメリカは強かった。    しかし日本も強かった。両チームは名実…

信じて、一丸となって手にした銀メダル。決勝戦では全員得点。ここまでの戦いぶりを象徴するようなエピソードだ(写真/©fiba.basketball)

 

 アメリカは強かった。

 

 しかし日本も強かった。両チームは名実ともに歴史に残る、最高に見ごたえのあるバスケットボールを見せてくれた。

 

 5人制バスケットボール女子日本代表が、8月8日にさいたまスーパーアリーナで開催された東京オリンピック決勝戦の舞台に登場。5年前のリオ大会まで6大会連続で金メダルを獲得していた強豪中の強豪、アメリカ代表を相手に、金メダルをかけた至高の40分に臨んだ。

 

 75-90。金メダルには16点届かなかったが、開催国代表として堂々の銀メダルフィニッシュ。オリンピックにおけるバスケットボール日本代表として、男女を通じて史上初の快挙を達成した。また、フル代表の世界大会における成績としては、1975年にコロンビアで開催されたFIBA女子ワールドカップ(当時の名称は世界選手権)以来46年ぶり2度目の銀メダル獲得となった。

 

 FIBA世界ランキング1位、平均身長で10cm大きい相手に、日本代表は3Pショットとスピードを生かすスモールボールで堂々対抗し、12人全員が得点を記録。第4Q残り8秒に馬瓜エブリン(トヨタ自動車アンテロープス)がオフェンス・リバウンドに食らいつき、ティップインを決めるまで、このチームらしいアグレッシブな全員バスケを展開し続けた。

 

 

キャプテンとしてこの試合でもチームを良くけん引した高田。17得点はチームハイだ(写真/©fiba.basketball)

 

 個人成績では、チームハイの17得点を挙げたキャプテンの高田真希(デンソーアイリス)と、16得点で続いた本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)の2人が二ケタ得点。昨年11月の右ヒザ前十字靭帯断裂から、リハビリを経て今大会出場をかなえた本橋は、最高の舞台で3Pショット5本中4本を成功させ、アシストも4本記録。チームを救うしぶとい活躍が光った。


 リバウンドは8本のオコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)がチームトップで、赤穂ひまわり(デンソーアイリス)が6本で続いた。今大会で記録的なアシスト量産を続けてきた町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)は、この日も6アシストがチームトップ。また、今大会初めて得点(8)がアシストを上回った。

 

 日本代表は今大会で6試合を戦ったが、敗れたのはアメリカ代表相手の2試合のみ。身長差を克服してバスケットボールを楽しむため、勝利をつかむためのヒントを数えきれないほど提供し、格上チームを次々なぎ倒してつかんだ4つの勝利には、無限大の価値がある。ホーバス トムHCの指揮の下、12人のプレーヤーたちが披露したバスケットボールは、世界中の記者やファンからの感嘆と称賛の的となった。

 

 この結果、アメリカ代表は7大会連続金メダル獲得を実現。オリンピックにおける55連勝という金字塔も打ち立てた。


 また、銅メダルは前日の3位決定戦でセルビア代表を破ったフランス代表が獲得した。最終的な上位3チームは、振り返ればいずれもグループBで同組の3ヵ国。奇しくも今大会における日本代表の大健闘ぶりを如実に物語る最終順位となった。

 

☆東京オリンピック5人制女子バスケットボール決勝戦試合結果

 

アメリカ代表 90(23 27 25 15)
日本代表   75(14 25 17 19)

 

この頂上決戦を象徴するようなティップオフの瞬間。日本代表の戦いに心から敬意を表したい(写真/©fiba.basketball)

 

アメリカ代表トップパフォーマー
得点: ブリトニー・グライナー(30) エイジャ・ウィルソン(19) / リバウンド: ブリアナ・スチュアート(14)、エイジャ・ウィルソン(7) / アシスト: ダイアナ・タラシ(8) ブリアナ・スチュアート、エイジャ・ウィルソン(5)

 

日本代表個人成績
※P=得点、FG=フィールドゴール、R=リバウンド、3P=3Pショット、FT=フリースロー、A=アシスト、S=スティール、±=出場時間中のチーム得点差変動
#0 長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス) 2P, 3R, 1S, ±9
#8 高田真希(デンソーアイリス) 17P, FG7/13, 3P1/4, FT2/2, 2A, 1S
#12 三好南穂(トヨタ自動車アンテロープス) 5P, FG2/5, 3P1/4, 1A, ±2
#13 町田瑠唯(富士通レッドウェーブ) 8P, FG3/6, FT2/2, 2R, 6A
#15本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ) 16P, FG6/14, 3P4/5, 5R, 4A,1S
#20 東藤なな子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ) 2P, FG1/4, 1R, 1A, ±1
#27 林 咲希(ENEOSサンフラワーズ) 4P, FG2/4, 2R, 1A
#30 馬瓜エブリン(トヨタ自動車アンテロープス) 6P, 3P1/4, FT1/2, 1R, 1A, ±7
#32 宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ) 5P, FG2/4, FT1/1, ±3
#52 宮澤夕貴(富士通レッドウェーブ) 3P, FT3/3, 4R, 1S
#88 赤穂ひまわり(デンソーアイリス) 3P, 3P1/3, 6R
#99 オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ) 4P, FTR2/2, 8R

☆最終順位
金メダル アメリカ
銀メダル 日本
銅メダル フランス
4位 セルビア
5位 中国
6位 スペイン
7位 ベルギー
8位 オーストラリア
9位 カナダ
10位 韓国
11位 ナイジェリア
12位 プエルトリコ


文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)

スライドショーには JavaScript が必要です。