(22日、愛知大会 中京大中京7―1名古屋市工)

 兄が、そして今春に自分ができなかった甲子園優勝をつかみにいく――。中京大中京の杉浦泰文(3年)は、強い気持ちでこの夏を迎えている。この日は3安打2盗塁と打って走って活躍した。

 身長160センチと小柄だが、50メートル5・8秒の足を武器に、今春の選抜大会では中軸につなぐ2番打者としてチームの4強入りに貢献した。この日、初めて公式戦で3番を任されたが、その意識は変わらなかった。

 一回1死二塁では10球粘って遊撃へ内野安打で出塁すると、すかさず二盗。三回の第2打席ではバント安打で、第1打席に続いて頭から一塁へ飛び込み、ここでも二盗を決めた。五回の第3打席では、一転して左中間へ二塁打。「自分はつなぎの3番。後ろにいい形でつなぐだけ」。試合後、泥だらけのユニホームを着替え、ニカッと笑った。

 甲子園優勝にこだわるのは、祖父の故・藤文(ふじふみ)さんの存在が大きい。祖父は中京商時代の1966年に春夏連覇した時の監督で、「トウブンさん」の愛称で親しまれた。1999年8月に58歳で亡くなっており「会ったことも、しゃべったこともない」が、「すごい人」というのは知っている。

 1歳上の兄・文哉さんも偉大な祖父と同じ甲子園の舞台に立って優勝することが目標だった。だが昨年はコロナ禍で選手権大会が中止に。甲子園交流試合で右翼手で先発した兄を、スタンドから見守った。「コロナがなかったら、優勝するレベルの強さだった」と振り返る。

 今春の選抜大会では兄の思いも背負い、祖父が見た甲子園優勝の景色を見たいと臨んだが、準決勝で敗退した。悲願へ、この夏がラストチャンスとなる。「おじいちゃんにはもちろん、兄にも追いついていないと思っている。追いつくためにも、優勝したい」(大坂尚子)