サッカーの東京オリンピック(五輪)男子日本代表は「史上最強」との呼び声が高い。豊富なタレント、経験値、ホームアドバンテージ……。銅メダルだった1968年メキシコ五輪以来となるメダル獲得への期待が膨らむ。

 「非常にいい状態だと思う。個人的にも、いいプロセスを踏めている」

 12日、前回リオデジャネイロ五輪4位のホンジュラスとの親善試合を3―1で快勝し、主将のDF吉田麻也(サンプドリア)は言った。自身が出場した2008年北京、12年ロンドンの五輪2大会に比べて順調だと手応えをつかむ。

 国際サッカー連盟が4年に1度開くワールドカップ(W杯)の権威を保つため、五輪は1992年バルセロナ大会以降、原則23歳以下に限定した。1年延期した東京五輪では、24歳以下が出場資格となる。年齢制限があるため、日本はこれまで、所属クラブで主力になりきれていないメンバーも少なからずいた。

 今回は違う。J1で活躍する選手にとどまらず、前回は2人だった海外クラブ所属の選手はメンバー発表時で過去最多の9人に。その後、MF田中碧のドイツ2部デュッセルドルフ移籍が決まり、J屈指のドリブラー、MF三笘薫(川崎)も欧州に渡る見通しだ。

 3人まで認められる年齢制限のないオーバーエージ(OA)も強力だ。吉田に加え、DF酒井宏樹(浦和)、MF遠藤航(シュツットガルト)はいずれもA代表の主軸。酒井は4位だった12年ロンドン五輪に出場し、遠藤は16年リオ五輪で主将を務めた。

 森保一監督は3人に絶大な信頼を置く。「絶対的な戦力であり、プレーでチームに貢献できる。ピッチ内外の行動で、背中で示してくれ、若い選手たちの成長を促してくれる」

 DF陣は、吉田、酒井に冨安健洋(ボローニャ)を加え、ほぼA代表と同じ陣容。守備的MFの遠藤は、ドイツ1部リーグで球を奪い合う局面での勝利数が全選手トップの実力者だ。

 OA枠を攻撃陣に使わなかったのは理由がある。日頃から欧州の屈強な選手としのぎを削る経験を生かし、まずはチームは守備を安定させて手堅く戦う。

 だが、森保監督の狙いは他にもある。チームの後方がどっしり構えることで「五輪年代の選手たちが、より思い切って、自分たちのプレーを発揮できる」。

 OAの存在を「頼もしすぎる」と話すのは、ホンジュラス戦で2ゴールを決めた背番号10のMF堂安律(PSVアイントホーフェン)。MF久保建英(レアル・マドリード)とともに、攻撃の中心の2人はより流動的にポジションを入れ替え、ゴールを狙うシーンが増えた。OA加入後の親善試合は17日のスペイン戦(1―1)を除くと、3戦全勝で、すべて3得点以上している。

 OAは6月の親善試合からいち早く合流。代表強化を担う日本サッカー協会の反町康治・技術委員長は「(他の国では)あんまりないと認識している。一歩リードしていると勝手に考えている」。

 オフシーズンと五輪が重なる欧州勢はチーム作りに苦戦している。今回はコロナ禍の影響で22人から試合ごとに18人をベンチ入りさせる特例ができたものの、ドイツは18人しか集められなかった。フランスも、昨季までプレーした酒井によると「ベスト(のメンバー)ではない」という。

 日本にとって有利な環境がそろうなか、日本は22日の初戦で、南アフリカと対戦する。(勝見壮史)

■歴代五輪代表の海外組数

 五輪 海外組の数 成績 

1996年アトランタ 1次リーグ敗退 0人

2000年シドニー ベスト8

 1人(中田英寿)

2004年アテネ 1次リーグ敗退

 1人(●小野伸二)

2008年北京 1次リーグ敗退

 2人(本田圭佑、森本貴幸)

2012年ロンドン 4位

 6人(●吉田麻也、酒井宏樹、大津祐樹、酒井高徳、宇佐美貴史、清武弘嗣)

2016年リオデジャネイロ 1次リーグ敗退

 2人(浅野拓磨、南野拓実)

2021年東京

 10人(●吉田麻也、●遠藤航、板倉滉、中山雄太、冨安健洋、橋岡大樹、三好康児、堂安律、田中碧、久保建英)

※OAが採用されたアトランタ五輪以降。●はOA。東京五輪の海外組数は15日時点