◆飛び込み W杯東京大会兼東京五輪最終予選 第4日(4日、東京アクアティクスセンター)

 男子高飛び込み決勝では東京五輪代表に内定した中学3年の玉井陸斗(14)=JSS宝塚=が424・00点の8位入賞を果たした。準決勝までは封印していた大技も投入し、4本目までは4位につける健闘で表彰台の期待も膨らんだが、勝負どころでほころびが出た。東京五輪への課題と収穫を、水泳担当の太田倫記者が「見た」。

 芭蕉の俳句ではないが、玉井が飛び込む水の音は、耳に心地よい。字にするなら「ボッ」と短く最小限。余韻も残らないほどだ。しかし、勝負のヤマ場でその音が聞けなかった。

 メダルの期待も膨らんだ5本目。苦手意識がある307C(前逆宙返り3回半抱え型)の入水で大きく水しぶきが上がった。45・90。4位から9位へと順位を下げた。「予選と準決勝では回り過ぎないような演技。決勝では同じようにならないように調整した」が、回転し過ぎ、斜めに突き刺さるような入水になった。

 玉井の抱える課題は、一つはプールに背を向け、後ろ向きに踏み切る演技。もう一つの「回り過ぎ」は、運動能力が高いがゆえでもある。体も成長してパワーもついたものの、まだ持て余している節がある。

 国内大会で80点から90点の高得点を連発する姿に見慣れていたが、勝手が違った。「(採点は)国際大会の方が厳しいと思った。入水のキレをもっとよくしたら、点数は出るんじゃないか」。優勝したデイリー(英国)が最終演技で100点を超えたように、全体に低く抑えられているわけではない。細かなほころびを簡単に見逃してくれないということだろう。

 昨年はコロナ禍で国際大会に出られなかった。予選だけで3時間以上もかかる大舞台で、コンディション作りの難しさを知った。最後の演技に五輪がかかる極限状態も味わった。その上で「戦えると思えた」のは収穫だった。

 8位入賞。「調子は上がっている。このまま突っ走りたい」と威勢のいいコメントも放つ一方で、「足りないのは最後まで集中して全種目を決めきるところ。メダル? まだまだ遠い」と、シビアに自己分析した。心技体の波を制御するヒントを、胸にしまいこんだ。(太田 倫)